パチスロで学費を使い込んだダメ男。親に連れ戻されるまで
アポなしで母親が来てバレてしまった!
「学費は勝って払えばいいと考えていました。今なら普通の精神状態じゃない、おかしいって理解できますがこのときは本気でそう思っていたんです」
最初のときにツキを使い果たしてしまったのかなかなか勝てず、100万円もわずか2か月半ほどで残り30万円程度に。このままだとお金がなくなるのも時間の問題でしたが、彼のパチスロ生活は突然終わりを告げることになります。
「パチスロを打ちに行っている時、母がアポなしでアパートに来たんです。用事があってついでに立ち寄ったらしいのですが、部屋に放置したままになっていた公共料金の督促状を見られてしまった。家に戻ったら学費の支払いについて疑いを持った母親から追及され、最初は払ったと言いましたが『じゃあ、大学に確認する!』と言われ、使い込んだことを打ち明けました。当然、大学2年の途中から学校にもほとんど行っておらず、単位不足でこのままでは4年どころか5年でも卒業が危ういことも言わざるを得ませんでした」
母親はその場で泣き崩れ、電話で話を聞いた父親は激怒。借金は両親に立て替えてもらいましたが大学は中退。実家に連れ戻されたそうです。
パチスロがしたくて仕方なかった
「地元で父親の知り合いの方が経営する今の土木会社に入れられ、給料はすべて親が管理。私が自由に使えるのは月3万円だけで、高い買い物をするときは近くに住んでいる兄が同伴したり、ネット通販なら兄や両親が見ている前で決済していました」
今は自分でお金を管理するようになったそうですが、昔みたいにパチスロにつぎ込んでしまうのではと怖くなることもあるとか。
「地元に連れ戻されてからは一度も行っていません。最初のころは打ちたくで我慢できず、ネットのパチスロゲームとかをやってましたが、しばらくするとパチスロ自体への興味も薄れてしまいました。ただ、何かの拍子で再びハマることも否定できませんし、お店のある道路を意識的に通らないように避けたりはしています」
すべて自分の責任とはいえ、失ったものはあまりに大きかったはず。理性を持って趣味の範囲で楽しむならいいですが、それをできない人が多いのもギャンブルの怖さなのかもしれません。
― 特集・借金苦に陥る若者たち ―
<TEXT/トシタカマサ イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>