「10年後、映画館はないかも」俳優・寛一郎があえて語る覚悟
1カットでのアクション撮影を言い渡されたのは…
――でも、特に寛一郎さんの戦い方は接近戦でしたし、大変だったのでは?
寛一郎:スタントの方がプロなので。怖さももちろんありますけど、とにかくスタントさんの力がスゴイんですよ。みなさん、本当に素晴らしいです。僕がミスしてもリアクションでカバーしてくれますし、そのカバーによって、僕までかっこよく見えるんです。すごく助かりました。
――クライマックスのアクションを1シーンで撮るというのが、撮影前日に決まったというのは本当ですか?
寛一郎:本当です。拓さんが、「1カットにしちゃおうか」と。……はい、って(笑)。ヤバイなと思いましたよ。僕や結木くんは、そのシーンでの殺陣も何もまだ教えられていない状態でしたから。それで1カットになるとだけ。
教わったのも当日です。できないとは言えませんし、やるしかないですよね(苦笑)。でも結果的に、その撮影が一番楽しかったんです。気合で乗り切った感じですが、カット割りで撮っていたら味わえない感覚を味わえました。そこが一番の見どころかなと思います。
父・佐藤浩市の質問は「しょうがない」
――寛一郎さんご自身についてもお聞かせください。ご自身の取材であっても、お父さんの佐藤浩市さんとのことを聞かれることが多いかと。正直、嫌だなと感じませんか?
寛一郎:そこはもう、しょうがないですよね。僕は半ば、父の名前を借りて役者をやっているようなものなので。たとえば僕がイチから役者をやるとなったら、この作品をやるまで何年かかるか分かりませんし。父の質問をされることは、しょうがないことだと思っています。
――役者という同じ道を選んだのは、あえてですか?
寛一郎:純粋に芝居をやりたいと思ったからというのはありますが、でもそれも、親父がこういう職業じゃなければやりたいと思っていなかったと思いますし。子どもの頃から映画を観てきて、やりたいと思うようになりました。