若者を食い物にする「モノなしマルチ商法」首謀者に聞く、悪の手口
下層メンバーは「都合よく洗脳されている」
A氏曰く、まかり間違ってこのような詐欺まがいのマルチグループに勧誘され、興味本位で入会してしまうと「グループから抜けるのは大変」と話す。
「基本的にマルチグループというはピラミッド型の構造をしていて、内部は宗教団体の教祖と信者のような上下関係が構築されていることが多い。なので、一番下層にいるメンバーの中には、上から都合よく洗脳されているヤツも少なくない。
そういう下っ端は『上は何千万もするランボルギーニに乗ってる。俺が稼げないのは努力不足だ……』みたいな自己否定の思考に陥りやすい。こうなっちゃうと、ありもしない儲け話にせっせと金を貢ぐ情弱バカとまったく同じ。苦労して集めた小銭すら延々上に吸い上げられ、最後はボロ雑巾みたいに使い捨てられるのが関の山だ」
実際に都内の某繁華街には、かつてA氏が在籍していたという、BARを装ったモノなしマルチグループの拠点が今もあるという。
「ネットやSNSを駆使するのはもちろん、店では対面の売り込みもやっていた。来店客はそんなことつゆ知らず、店員から酒をガンガン進められて、東南アジアでやってる魚介系の養殖場に出資すれば儲かるとか、利率の良さを謳うマンション投機を持ちかけられていたよ」
おいしい話には必ず裏がある――。SNSを中心に増加するモノなしマルチ商法の被害に遭わないためには、「何があってもかかわらない」それが最も正しい対処法である。
<取材・文/永田明輝>
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