マッチングに疲れた!ネットに「自然な出会い」はあるのか?
習い事を目的にして心理的ハードルを下げる
アローハでは「独身限定」を打ち出してますが、あえて婚活色は出さないようにしているとか。
その理由を石原氏は「婚活は打ち出さず、“どうせ学ぶなら男女に限らず独身仲間と楽しく”というコンセプトにしています。
そのほうが、恋人が欲しい方、仲間が欲しい方、婚活に興味はないけど習い事に興味がある方、幅広いユーザーに利用していただけるからです」と説明します。
また、石原氏によれば、イベント内容が同一でも「名称によって参加者の満足度や期待するものが大きく異なる」そうです。
「たとえば『ゴルフ婚活』と『独身限定ゴルフ教室』があった場合、ゴルフ婚活と銘打ったイベントでは、『ゴルフは楽しかったけど、いい人はいなかった』となりがちで、最終的な満足度が下がります。
一方、独身限定ゴルフであれば、そもそもゴルフを楽しめた時点である程度の満足感を得ており、さらに気になる異性が見つかる期待という、プラスアルファがあるような感じです」(石原氏)
アローハではゴルフ教室のほか、気軽に参加できるワイン教室、お洒落な趣味として最近注目されるハーバリウム教室などが、現在人気だそうです。
結婚はしたいけど、出会いが少ない人が多い
国立社会保障・人口問題研究所が行った調査では「いずれ結婚したい」と回答した独身男女は8割以上にのぼる一方、別の調査では「婚活サービスを利用したことがある」と答えた単身者は2割以下という結果も出ています。
この隔たりから「パートナーは欲しいけど“婚活”という名称に抵抗感を持つ方々が非常に多い」と石原氏は分析します。
「たとえば、婚活してる自分の様子をSNSで友人にシェアする人はごく小数ではないでしょうか。婚活だと、どこかでおおっぴらにできない心理が働いてしまう。これが習い事であれば『◯◯教室に参加してます』と友人にも言いやすいし、勧めやすい」
趣味を入り口にすれば、“ガチ勢”ではなく“エンジョイ勢”として、恋愛・婚活市場に参戦しやすいというのは納得です。
「アプリや婚活サイトだったら条件面で足切りしてた人でも、実際に会ってみるとフィーリングが合うこともあるはずです。そういった予期せぬ出会いを、趣味や習い事を楽しむ過程で見つけてほしいです」(石原氏)
マッチングアプリの流行が生み出した条件至上主義。その揺り戻しで出会いのナチュラル化を望む人が増えているのかもしれません。
<取材・文/栗林 篤>