ローカル私鉄ならではの事情も…110周年、熊本電鉄の現役・引退車両
熊本電気鉄道(以下、熊本電鉄)は1909年8月15日に創立。鉄道やバスを運営し、2019年で110周年を迎えた。
鉄道では引退した車両も含め、6車種を保有し、今が花盛り。しかし、鉄道事業は正念場を迎えている。
現役車両は、東京メトロ、都営地下鉄(東京都交通局)で活躍した車両が3車種7編成在籍。くしくも当該路線のホームドア設置でお役御免となった車両が熊本電鉄に集結した。
東京メトロの名残りをとどめる「01形」
東京メトロ銀座線で活躍した01系が九州の地へ足を踏み入れ、2015年に営業運転を開始。集電方式や線路の幅などが異なるため、屋根上にパンタグラフが取りつけられたほか、台車も川崎重工が開発した「efWING」に履き替えた。営業運転開始後はスカート(排障器)の設置、ドアチャイムの更新が行なわれた。
後述の03形も含め、可能な限り東京メトロ時代の雰囲気を残し、東京メトロを模したロゴマークは面白い。01形は2編成4両が導入され、5000形青ガエルを置き換えた。
現在は、「くまモンのラッピング電車」2・3号車として運行されている。後述する1号車ともども台湾の観光客に人気があり、月間約5000人が乗車しているという。
01系が中小私鉄に譲渡されたのは、熊本電鉄のみ。銀座線は地上区間がわずかということもあり、側窓にカーテンがない。
参考までに、東京メトロでも銀座線の01系と1000系による「くまモンラッピング電車」が運転された。
期待のニューフェイス「03形」
熊本電鉄のニューフェイス。東京メトロ日比谷線で活躍した03系が01系のあとを追うかのごとく、九州へ。日比谷線と熊本電鉄は架線の電圧が異なるため、改造箇所は多岐に及ぶ。
4月4日から菊池線上熊本―北熊本間で営業運転を開始し、半年近くたった現在も同区間を駆けめぐる。熊本電鉄によると、国土交通省に藤崎線全線(藤崎宮前―北熊本間)および、菊池線北熊本―御代志間運行の届出書を提出しており、認可され次第、入線予定だという。
03形は2018年度から2020年度にかけて、各1編成を導入する予定で、6000形や3代目200形を順次置き換える計画をたてている。