99%が知らないブロックチェーンの脅威。労働者は不要になる!?
すべての個人を点数が追いかけてくる
ブロックチェーンの世界というのは本当に恐ろしく、お金のやり取りから、利用者がどんな行動をしたかまで、すべて可視化できて記録に残せます。そのため、管理者不在でも、トラブルは起こらなくなっていきます。
現在、中国ではすでにこれに似たような技術が普及してきています。完全なブロックチェーンシステムではないものの、個人信用スコアなるものが、中国人民銀行とアリババ社やテンセント社らにより実用化されつつあります。これはどういったものかというと、請求書を期限内に払うと信用スコアがアップしたり、交通違反をすると信用スコアがダウンしたりするものです。また、今後はホテルや配車アプリなどで、お店とお客さんが相互評価できるようになることも予想されます。
こうした技術の登場により、現実世界のどこに逃げてもその信用評価に追いかけられるようになるのです。すでに北京市では2020年末までに、全市民に対し、信用スコアを付けることが決まっています。
そして、このような技術が、近い将来、中国だけではなく世界中で自動的に稼働するようになります。これは各国の政府が介入するということではなく、ブロックチェーン技術の普及により、いつの間にかそういう状態になってしまうのです。それはまるで「食べログ」が普及し、いつの間にかすべての飲食店に点数が付くようになったのと同じように、です。
顔認証で表示される近未来
ほとんどすべての人に信用スコアが付く未来、信用スコアはスマホのカメラをかざすと顔認証技術で表示されるようになり、信用スコアが高い人は誰からも歓迎され、信用スコアが低い人は誰からも避けられるような社会になります。
その昔、小さな村で悪いことをしたらみんなに知れ渡ってしまい、共同体からはじき出されたように、これからは世界中に知れ渡るようになるのです。こうなった場合、人材派遣業はもちろん、Airbnb やUberのようなサービスまで必要とされなくなります。これらの業者は現在、管理することで中間マージンを取っているのですが、管理の需要がなくなるからです。
相手の信用スコアがわかれば、安心して仕事を頼めます。また、仕事をきちんとしなければ低い評価をすればいいだけなので、管理者はいらなくなるのです。
グーグルもフェイスブックも飲み込まれる
しかし、人材管理サービスやマッチングサービスだけではありません。現在の世界覇者であるグーグルもフェイスブックもアマゾンもアップルもマイクロソフトも、この波に飲み込まれていきます。ブロックチェーン技術により、人と人とのマッチングだけではなく、ほとんどのシステムが、管理者もサーバーも不要の分散型アプリケーション(DApps)として作られるようになるのです。
すでに仮想通貨取引所やゲームの分野では、管理者のいないシステムが実用化されています。そして今後は、インターネット上で稼働している、ありとあらゆる分野に広がっていくことが予想されます。その結果、現代のインターネットの覇者たちは消えていくことになります。
さて、こんな未来になったとき、雇用はどれくらい失われるのかということですが、30~50%はなくなってしまうといわれています。面倒くさいことをAIやブロックチェーンがやってくれるので、それは大変ありがたいことなのですが、それに伴い失業者は確実に増えるのです。
<TEXT/川島和正>