学生はTシャツ姿、採用担当は歌まで熱唱…“アウトロー”な企業説明会ルポ
社名を明かさず人間として向き合う
いよいよ、企業の担当者とのトークセッションが始まりました。この日の参加企業は9社。採用担当者たちは1回につき20分、社名や業務内容を明かすことなく、学生たちとの対話を行います。採用担当者も、1人の人間として、若者たちと会話をするのです。
トークはたいていの場合、自己紹介からスタート。学生たちは、名刺を見せながら自分のやってきたことや、人生観について簡単に話します。あとはお互いに質問をし合いながら理解を深め合っていきます。
企業の担当者から「どんな仕事観を持っているのか?」「どんな経歴の持ち主か」などと質問が飛ぶ一方、学生からも「なぜこの場に参加したのか」と、採用担当者に尋ねる場面も。
採用担当者は「会社組織は時間が経つと、一人ひとりの社員が同質化してしまう。個性の強いアウトロー採用の出身者には同質化した組織に風穴を開けてほしい」「世の中に疑問を持って、やりたいことをやっている人のほうがパフォーマンスを期待できる」などと、彼らの求める人物像を明かしてくれました。
哲学的なテーマをもとに本音を語り合う
また、机上の紙箱には、トークテーマの書かれたカードが入っており、話題に詰まった際はそのカードを引いて出てきたテーマについて話し合います。書かれているのは「人間らしく生きるとはどういうことか?」「愛情と友情」などの哲学的なテーマばかり。答えのないテーマを話し合うことで、その人の本性を深く知ろうという試みのようです。
参加者の会話に対し、どのような学生がいたか熱心にメモを取り、真剣に覚えようとしている企業がある一方で、「採用というより、就活アウトローたちと話すのが楽しくて参加しています」と話す企業もいました。どこまで実際の採用につながっているかは不明ですが、すべての企業がそれ目的で来ているかはわからないのが正直なところです。
3時間を超える長時間のセッションながら、参加企業から「いろいろな価値観を持つ人と話すことができた」「仕事だということを忘れるほど。できるだけ毎回参加するようにしたい」など好意的な声が出ていました。