事故物件に住んでみたら、謎の音が…新入社員の恐怖体験
新入社員がいわくつきの物件に住み、何が起こったかレポートするーー雑誌「裏モノJAPAN」(鉄人社)で、そんな連載がありました。
予期せぬ事態が連発するなか、当人は結婚、妻の出産などを経て、単身者向けの物件から、今度は一家心中があった物件に転居。
まるで日曜の昼間にやっているドキュメンタリーを見ているような連載が『一家心中があった春日部の4DKに家族全員で暮らす』(鉄人文庫)として書籍化。今回、著者である建部博さんに当時の心境を聞きました。
事故物件に全く抵抗はなかった
――雑誌の企画とはいえ、いわく付きの物件に住むのは嫌ではなかったんですか?
建部博(以下建部):僕は心霊の類を信じていなかったですし、そもそも面接の時に「怖いものはあるか」と聞かれ、「別にないっす」と答えたくらいですから、全く抵抗はなかったです。当時は埼玉の実家に住んでいたので、通勤時間も半分以下になるし、家賃も半分出してくれるって言うから、むしろ「ラッキー」って感じでした。
――とはいえ、入居してすぐにメンタルをやられ、蒸発してしまいます。当時の心境はいかがでしたか?
建部:たしかにそうですね(笑)。あのときは何事にも無気力になってしまい、普段通勤する電車で、反対に向かってしまいました。五月病みたいな症状でしたね。仕事自体は面白かったですが、入社して数か月くらい経つと、当初あった緊張感がなくなってしまい、「会社に行くの、だるいな」と思うダメな自分が表に出てきてしまいました。
レベル10のうち3くらいの嫌さ
――会社の反応は?
建部:普通の会社ならクビになってもおかしくないと思いますが、編集長が僕の部屋を覗きに来たり、情報提供者に報酬を払う告知を出したりと、むしろこの状況をネタにしてやろうって雰囲気のようでした。後日、書店で立ち読みした時、奥付に自分の名前が残っているのを見て、「おかしな雑誌だな」と思いつつも、嬉しかった記憶があります。
――仕事とプライベートの境界線がない生活ですよね。印象的な出来事はありましたか?
建部:怖くないとはいえ、レベル10のうち3くらいの嫌さはありました……。今でも覚えているのは引っ越し直後、天井から聞こえてきた拍子木の音ですね。結局、最後まで何が原因かわからずじまいでしたが、あとで伏線として回収できれば面白かったでしょうけど。