石川遼、3年ぶりのツアー制覇「国内復帰」だけじゃない勝因
スランプのもうひとつの原因、腰痛は…
では、なぜ復調できたのか?
「ここ1~2年は、自身が『全くダメ』と言うほど絶不調だったドライバーショットが、今大会では正確さを取り戻したことが大きいでしょう。
背景にはウエイトトレーニングによる腰痛の改善があります。海外では、気候や地理的な環境面でもコンディションを維持することが難しいです。国内復帰によって、慣れ親しんだ環境で療養に専念できることができたと考えられます」
2016年から腰椎椎間板症(前かがみの姿勢をとることで椎間板に生じる病状)に悩んでいた石川遼選手。2017年10月の日本オープンでは「まっすぐ飛んでいくと、自分が一番びっくりする」とも発言。今年の男子ゴルフ開幕戦では腰痛を理由に欠場するなど、不安な側面も見られていたが、ようやく回復の傾向にありそうだ。
「またこの1年間は、競技・自分自身に対して向き合い続けて精神面でタフになったことで、大会の終盤、特に劣勢に立たされた状況でも『挑戦者になる』と、前向きに気持ちを吹っ切ることができたのではないでしょうか」
今後の活躍に期待大。スランプ脱出でレベルアップ
現在、石川遼選手は27歳。若手が隆盛を極めるゴルフ界だが、ふたたび活躍のチャンスは訪れるだろうか。
「石川遼選手本人も『(今大会でみせた)今のゴルフならこれから先もすごく楽しみ』と語っているように、この勝利で心境面でも大きな変化が表れています。低迷を潜り抜け厳しい修羅場を勝ち切ったことによるスランプ脱出で、これまでのスタイルに加えて、もう一つ上のレベルへ上る大きなきっかけを掴んだことでしょう。ゴルフに限らず他競技を含めても、このようなシチュエーションは選手を一回り大きくするので、石川選手のこれからには十分期待できます」
今回の優勝により世界ランキングは300位から183位に急浮上。長期の空白を経た復活に、五輪出場への期待も高まる。長いスランプを抜けた石川遼選手の今後の活躍が楽しみだ。
<TEXT/bizSPA!取材班>