滝藤賢一×中村倫也 名脇役が語る「先が見えない下積み時代に僕らがしていたこと」
――おふたりで組んだからこそ生まれたものは。
滝藤:いっぱいありますよね。アドリブも結構あったし。
中村:遊びはしましたよね。滝藤さん、本番でいきなり仕掛けてくるから。
滝藤:それは中村さんでしょ!
中村:僕はテストからやるタイプですけど、滝藤さんは本番にいきなりポロンと出してくる。それを僕は、拾います!っと(笑)。ただ、自由にやっていたとおっしゃっていますが、思いやりを持ちながら、振り回してくれる先輩です。
滝藤:そうなんですよ。“思いやり”があるってちゃんと書いてください。太字でね(笑)。
――今回の役柄で気を付けた点は。
滝藤:僕は普段オーバーアクトを求められることが多いんですけど、今回はみんながおもしろい役作りをしていたから、自分が何かをやるというよりは、しっかりリアクションをしていくことを大事にしていました。
――お互いの芝居で、変化球がきたな、台本を読んでいた印象と違うなと感じたことは。
中村:礼紋が台本の印象の3倍くらいひょうひょうとしていました。その分、僕は動きがありました。コンビですし、作品のなかでの立ち位置としてもコンビネーションが必要だったので、楽しみながら走り回りました。
滝藤:中村さんは、なんでもできちゃう人だから。僕がひょうひょうとしていればいるほど、柴田の熱いところも引き立つし、バランスだと思うんです。
――中村さんは「滝藤さんを大好きになった」とコメントされていました。
中村:胸を借りるという言葉がしっくりきました。滝藤さんは、こうして好き勝手やっただけだよとか、僕のことを褒めてくれますが、こういう先輩ってあんまりいないんです。
初日から、僕の出方をうかがってくれてすごく嬉しかったですし、一緒にコンビを作っていけるんだなと感じました。歳の差もキャリアも関係なく、同じ目線で向き合ってくれたので、毎シーンやりがいがありました。
滝藤:僕は40歳からは、タフな体力づくりと、受ける芝居を目標にしているんです。ですから、中村さんのように力がある俳優がぐいぐい来てくれると、本能的に受けたくなりますよね。そのほうがおもしろいですから。自分よりも10歳も若い人間が、ガンガン攻めてきてくれる。
受けさせてもらえるのであれば受けたいですよ。共演者やエキストラさん、小道具でも、その場にあるものをなんでも使って演じるというスタイルは、僕も同じです。中村さんを信頼しているので、楽しくセッション出来ました。
竹内さんは驚きの連続、貫地谷さんは改造人間!?
――竹内さんのシャーロックはいかがでしたか?
中村:台本から予想だにしなかったことを毎回提案される。そこを僕は合わすのか、逸らすのか。役者として非常にスリリング、やりがいがありましたね。
滝藤:とってもおもしろい役作りをされていましたね。ふり幅がありましたし。竹内さんならではなりのシャーロックだったと思います。驚きの連続でした。
――シャーロックとは対照的な和都を演じた貫地谷さんは。
滝藤:彼女はとっても明るくて元気。カメラが回る直前までしゃべっていたのに、なんでこんなに涙が出るの?って。
中村:1話ゲストの水川あさみさんと一緒に、本番の直前までずっとしゃべってました。それで、よーい、ハイ!ってなったら、もう涙が出てる。僕と滝藤さんは現場で見ていて、「なんなの、あれ」と(笑)。至った結論は、なんらかの改造手術をしているという。
滝藤:ははは。すごいよね。
――改めて本作で好きなエピソードを教えていただけますか?
滝藤:僕は3話がおもしろかった。特に終盤に見せるシャーロックの謎解きがおもしろかったですね。脳みそフル回転で専門用語をまくし立てるシーンは痺れましたよ。
中村:よくあんなセリフ言えますよ。感服です。
滝藤:あれはドキドキしたな。
中村:全8話に縦軸があるんです。シャーロックがずっと追いかけている裏に潜む巨悪。いろんなエピソード、いろんな人物が毎回出てくるなかで、後半はもちろんそこにガッと迫っていくんですけど、その道中も、忘れたころにスリリングに入ってくる。全体にそうした緊張感が持続しているのが魅力ですね。