女優・恒松祐里、香取慎吾との共演に「本当に器の大きな人だと思う」
2005年に子役としてデビューし、近年では『散歩する侵略者』『虹色デイズ』などで女優としての評価が高まっている恒松祐里さん(20)。
『凶悪』『彼女がその名を知らない鳥たち』の白石和彌監督と、「新しい地図」の香取慎吾さん(42)がタッグを組んだ話題作『凪待ち』では、香取さん演じる絶望の淵へと追い込まれていく郁男の恋人・亜弓(西田尚美)の娘の美波を演じて印象を残しています。
今年はこの後も『いちごの唄』『アイネクライネナハトムジーク』など公開作が目白押しの恒松さんに、現場でのエピソードや香取さんの印象、自分の性格で直したいことなど、さまざまなお話を聞きました。
美波の明るさは、自分と共通する
――複雑な境遇に置かれる、美波のことは理解できましたか?
恒松祐里(以下、恒松):美波の明るさは、自分と共通すると思いましたし、郁男に対する気持ちも分かりました。美波は郁男に対して、どこか友達のような感覚を持っています。
親子のような関係ですが、でも本当の親子とは違います。そのなかで思春期の美波が抱く郁男への感情は分かりますし、あの年齢らしい不安定さというのは、私だけでなく、誰もが共感できる部分だと思います。
――郁男にはダメな部分が多いです。でも娘のような美波の前では優しい顔を見せていますね。
恒松:美波は郁男の悪い部分にはあまり気づいていません。美波から見えている郁男はとてもステキな人。不器用だけれど優しくて、美波のことを心配してくれて。郁男の良い面を一番見ているのは美波だと思いますし、そんな美波がいるからこそ、郁男も救われる。
良い面を見てくれる美波や、吉澤健さんが演じた勝美おじいちゃんのような人がいるから、郁男も良い方向へ、少しずつ踏み出すことができる足掛かりを見つけることができると思います。
シリアスなシーンでも現場は和気あいあい
――美波のシーンは穏やかなものが多いですが、お母さんが亡くなったあと、郁男とぶつかり合うシーンでは感情が爆発していました。
恒松:感情を爆発させるようなお芝居は苦手なほうなので、あのシーンは悩みましたし、事前に美波の気持ちを考えていくのも大変でした。でも実際の撮影現場は楽しかったんです。というか、意識してオンオフを切り替えて楽しむようにしていました。
メイクさんが、鼻に優しいポケットティッシュを何種類も用意してくださって、その選手権をしていたんです。撮影して泣くたびに、鼻水や目がすごいことになるので。カットがかかるたびに「次はこのティッシュを。あ、これは2位ですね」とか「うわ、これはいい!」とか(笑)。
感情を爆発させるような場面で気持ちを持続させていると、どうしても集中力が途切れたり、気持ちが落ちてきたりするので、オンオフをしっかりするようにしていました。