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電通社員・34歳が監督した映画が評判。「しんどい仕事も映画の修行になった」

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プランナー、監督として他人を巻き込む方法

長久允監督

――プランナーとしても監督としても人を巻き込む力が大切だと思います。そうした力はどう培ってきたのでしょうか。

長久:大変な仕事をしているときに感じたのですが、自分自身が、「あなたの能力は最高です!」と思っている人と仕事をしないとストレスがたまるし、自分の思っているものと違うものになっていって、いろいろ不和が生じてきます。だから自分に決定権があるものに関しては、自分が最高だと思っている人としかやらないように決めました。そうしたときから、無駄がなくなったと思います。

――自分が最高だと思っているからこそ、相手も返してくれると。ただ、そうした人を集めるのは難しいのでは?

長久:そうでしょうか。たとえば、今回の映画でも、NYにいるLOVE SPREADというバンドで、面識はなかったんですが、好きですとDMを送って音楽を頼んだり、会ったこともない衣装の方に、初めまして好きですと会いに行って進めていった。

 8bitデザインを担当してもらったゲーム作家の方も、個展を見に行って、すごく好きだなと感じたので、「一緒にやりませんか」とシナリオを置いて行った。好きだと言われるのはマイナスにはならないだろうし、都合が悪かったりダメだったらダメなだけだけど、動かないことには叶わない。

これまでの人脈を使ったわけではない

――ではこれまでの広告でのお仕事の人脈を使ったわけでは?

長久:ないです。役者さんもメインの方は初めましての方ばかり。こういう大好きな演技をするあなたにこの役をやって欲しいと。電通だから、これまでの仕事での知り合いと、と誤解されますが、もともと僕はプランナーですしね。プランナーという仕事は、タレントさんや役者さんとのつながりはほとんどできないので。

――ディレクターさんではないんですよね。

長久:地方のテレビ局の5分番組を作ったり、スーパーの店頭ビデオを作ったりというのはやっていましたが、物語を演出したのは『金魚』が初めてです。

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