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肥満アイドルの自己プロデュース「私たちは“ぽっちゃり”じゃなくて“デブ”」

暮らし

お客さんの怪訝な表情が徐々に変わっていった

びっくえんじぇる

「2年目にして自分たちなりの軸が定まってきた実感がある」と大橋さん

――結成から1年強。王道とされる“細くて可愛い”というアイドル像にどこか、自分たちらしく風穴を開けられたという手応えはいかがですか?

橋本:半年程前までは、心のどこかに「細くて可愛いアイドルになりたい」という気持ちが残っていたんですよ。でも、だんだんと「デブだけど可愛いよね」とか言われるようになってから、ありのままの自分を受け入れてくれる人たちを大切にしようと思えるようにもなってきて。

 みっちゃんやえりぴょんに出会えたのも奇跡だし。今ではもう自分たちの活動を「どう拡げていくか」と思うのみですね。

多田:ライブでもステージでご飯を食べたり、曲中に買い物へ行ったりとか、自分たちにしかできないような企画にも挑戦しているんですよ。ある意味では“ゆるキャラ”的というか、身近さや親近感も私たちならではの“味”かもしれません。

大橋:初めはとにかく「びっくえんじぇるを知ってもらおう」と試行錯誤していた気もするけど、ようやく2年目にして自分たちなりの軸が定まってきた実感もあるんですよ。

 以前、対バンライブで他のユニットと共演したときに初めは「何だ、このデブたち」みたいに怪訝な表情をしていたお客さんたちが、ステージでポテトチップスを食べたりする私たちに対して徐々に表情を変えていき、最後には拍手で見送ってくれたのも印象に残っていて。

 最近はいのりんやえりぴよと一緒に「今の環境って本当にありがたいよね」と話しているんですけど、これからはもっとファンの方々とじかに接することができる場所を増やしていきたいんですよね。ほんの少し周りを見ながら動く余裕も出てきたので、課題をクリアしながら、今後も活動に励んでいきたいと思います。

■ ■ ■ ■ ■

 12月には新宿BLAZEでのワンマンライブを予定しており、ZeppTokyoでの公演やワールドツアーも目標にしているびっくえんじぇる。

 ファンと支え合いながら、近い将来に彼女たちの夢が実現するのを心より願いたいですね。

<取材・文/カネコシュウヘイ、撮影/鈴木大喜>

フリーの取材記者。編集者、デザイナー。アイドルやエンタメ、サブカルが得意分野。現場主義。私立恵比寿中学、BABYMETAL、さくら学院、ハロプロ(アンジュルム、Juice=Juice、カンガル)が核。拙著『BABYMETAL追っかけ日記』(鉄人社)。Twitterは@sorao17

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