肥満アイドルの自己プロデュース「私たちは“ぽっちゃり”じゃなくて“デブ”」
拒食症だったファンから「食べることって楽しいんだ」
――YouTubeへの反響がある一方、やはりもう一つの核になっているライブではどういったお客さんが来ているんでしょうか?
大橋:20代の女性がけっこう多いかもしれません。きっかけはおそらくYouTubeだと思うんですけど、握手会などでは私たちからみればやせているけど、自分では「太っている」と悩んでいる方々が少なくないですね。
多田:女の子にとって、たぶん“ダイエット”は永遠の課題なんですよね。でも、そんな世の中なのにみんな100kgぐらいの体重で「アイドルですよ」とポジティブにやっている姿勢に共感してくれているのかなって。実際に、そんなお手紙もよくいただくんです。
――例えば、お手紙にはどんなことが書かれているんですか?
多田:もともと拒食症だったという子からは「無理なダイエットをしていたけど、おいしそうに食べている表情を見ていたら『食べることって楽しいんだ』と気付けました」という内容をもらいましたね。
――それぞれに届く内容も、やはり違うんでしょうか?
橋本:そうですね。私はなぜか生きざまみたいなお手紙をもらうことが多いんですよ。ある人からは「なんで生きているか分からなかったけど、食べている姿を見て生きようと思えました」みたいな真剣なお話が届いたんですよ。
私も似たような思いに駆られるときがあるし、その言葉を受けて「ヘコタレちゃダメだ」と感じて励まされたりもするので、ファンのみなさんとのよい相乗効果が生まれている気もします。
大橋:私は専属モデルの仕事もしているからか「ぽっちゃりなのにオシャレで、目標にしています」という内容が多いかもしれませんね。
橋本:たぶんみんなそれぞれ、人に与えられるものが違うんですよ。みっちゃんはキレイだし女性的で、眺めているだけでも大らか気持ちになれる。えりぴよは食べ方が元気いっぱいでこっちまで自然と笑顔になっちゃうとか、個性がバラバラだからこそグループとしてまとまれるし、見ていて楽しいのかなとも思います。
三者三様のバラバラな個性がユニットの面白さ
――ふだんの活動では、役割もやはりそれぞれ三者三様なんですか?
大橋:やっぱり、性格も違うので。えりぴよは頭がいい……のかな(笑)。でも、YouTube周りにすごく強くて、グループ内では一番アイドルらしい子だから、ファンの方の熱気や力も一番強い印象ですね。
橋本:話し合いのときも、常に中立の立場から冷静に見てるよね。みっちゃんと私がバシバシと意見を交わしているときも、ビシッと場をまとめてくれるみたいな。グループきっての“和ませ役”です。
多田:二人の意見の方向性がそれぞれ違うんですよ。みっちゃんは現実離れしたアイデアをポンッと出してくれて、それを現実的に受け止めるのがいのりんかな。
橋本:今年12月に新宿BLAZEで開催するワンマンライブも、みっちゃんの発案だったんですよ。私はどちらかといえばネガティブ思考なので、いったん「いや、無理でしょ」と考えてしまって。でも、理由を聞いていくうちに「先を見ないと進めないよ」と発破をかけてくれて、目標があるからこそ頑張れると再確認することができて。
とはいえ、行き過ぎたアイデアが飛び出たときは、いったん引き止めたりもしますし、それぞれのバランスが上手く噛み合っているんだと思います。