“強烈なニオイ”でアルバイトが定着しない。職場のスメハラ被害者の嘆き
セクハラやパワハラなど、ビジネスシーンで大きな問題となるハラスメントはいろいろとありますが、特に被害を訴えづらいものに“スメルハラスメント”があります。
今回話を聞いた深瀬亮さん(仮名・28歳)が勤めるのは中規模の総合出版社。男性向けの専門誌を制作する編集部に配属され6年。世間と隔離されたオフィス内は2種類のニオイが立ち込める異様な環境だといいます。
タバコ吸い放題の“昭和な職場”
「編集長が無類の愛煙家なので、ほぼ全員のデスクに灰皿が置かれています。なまじ実績がある分、融通が利くんでしょうね。飲食店ですら全面的に禁煙になりそうなご時世に逆行する昭和な職場です」
深瀬さんの編集部だけ他の部署とフロアが異なり、喫煙可能なスペースになっているそうです。そのため他部署の社員がタバコを吸いに集まってくる休憩時間には、まさに喫煙所の中で働いているように感じるとか。
「普段はさほど気になりません。例えるならファミレスの喫煙席くらいですが、締め切り前にもなると、深夜の雀荘クラスに。10分いたら確実に服や髪の毛にニオイが残りますね」
各自の灰皿には吸い殻が山盛りで、うっすら煙がゆらいでいることも。すぐそばに資料などが山積みになっているため、いつ不始末が原因のボヤ騒ぎが起こってもおかしくない危険な状況のようです。
「鼻炎でよかった」そう思わず、つぶやいたワケ
タバコ臭に加え、「同僚や上司の衣服から放たれるニオイにも悩まされている」と、深瀬さんは言います。
「何年も変わり映えのしない男所帯のせいか、身なりに気を使い清潔感があるのは極少数派。暑い時期になると、オフィス内に生乾きの嫌なニオイが充満します。マスクは必須で、やむを得ず外すときは、口呼吸に切り替えます。初めて鼻炎で良かったと思いました。既婚者もいるんですが、なぜ家族が注意しないのか不思議で仕方ありません」
しかも、ノベルティとして作ったTシャツを、編集部員がパジャマ代わりに使っていて、締め切りの時期を過ぎると、Tシャツが嫌な湿気をともなって散らばっているそうです。冬、夏ともに同じレベルの“臨界点”に達するとか。
「会社によく泊まっている何人かはニットやチノパンを1着しか持っていなくて、独特のすえたニオイがこびりつき、冬と夏とでタイプの違うニオイが発生するんです。洗濯して、乾燥機に入れれば済む話なんですが……もしかすると、うちの編集部員にはコインランドリーに行く服もないのかもしれません」
「着ている服に直でファブリーズをぶっかけている光景をよく見かける」と語る、深瀬さんの悩みは深そうです。しかも、そのせいで思わぬ弊害まで起きているとか……。