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東京メトロの引退車両が「自動販売機」に転身したワケ。元整備担当も特別コメント

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車掌4人がコメント「再就職した01系を応援しています」

 今回の「THE VENDING TRAIN」について、東京メトロのプレスリリースに掲載された、車掌4人のコメントを転載。そして、私の希望で広報にもコメントをお寄せいただいた。みなさん「01系愛」にあふれている。

自販機

自販機設置場所付近にグラフィック広告を掲示(提供:東京地下鉄)

■銀座線乗務管区浅草車掌事務室統括車掌
「緊張しましたが、貴重な体験ができました。これからも銀座線から再就職した01系を応援しています」

■銀座線乗務管区渋谷車掌事務室統括車掌
「出演の話をいただいた時は正直驚きましたが、なかなか経験できることではありませんので、楽しむ気持ちで臨みました。銀座線01系には、車掌になった時からお世話になっておりましたので、今回の企画での再会はとてもうれしく思います」

■千代田線乗務管区綾瀬車掌事務室統括車掌
「入社当時お世話になった01系、あなたの転職に携われたことに感謝!」

■半蔵門線乗務管区青山車掌事務室統括車掌
「営業運転を終えた01系の第ニの人生に声を入れられたのはよかったです。01系は意外とタフで扱いやすかったです」

■広報(異動前は銀座線車両の整備担当だった)
「車両の整備担当として入社し、最初に携わったのが01系でした。退職して久しいと思っていましたが、私の部署も変わった今、こうして再就職した01系とまた仕事で携わることができるとは思いもよらず、とても感慨深いです」

 もし「THE VENDING TRAIN」が溜池山王駅での勤務を終えたら、地下鉄博物館に“異動”し、今度は展示物として、人々に末永く愛されて欲しいことを願う。

引退後の01系はどうなっている?

 最後に01系引退後の現在をお伝えしよう。

■動態保存
 01系試作車(1983年製)は、丸ノ内線の中野車両基地に移り、3両編成の「教習車」として動態保存されている。

01系試作車

昭和、平成、令和を生きる01系試作車

■静態保存
 地下鉄博物館開館30周年記念の一環として、01-129(1号車)の前面部分が展示された。また、開館当初から01系運転席のシミュレーターがあり、現在も操作できる。

地下鉄博物館

地下鉄博物館の展示は、“偉大な車両”の証

■熊本電鉄
 2編成4両が南国に移り、「くまモンのラッピング電車」2、3号車として、熊本のシンボル的な存在となっている(1号車は元都営三田線の車両)。

熊本電鉄

熊本電鉄01形(1992年製)は平成、令和の時代を走る車両となった

第35編成

第35編成はのちに「くまモンのラッピング電車」3号車に変身

 特に3号車は、東京メトロの御協力により、1000系と同じカラーリング(フルラッピング)になり、より楽しさがあふれる車両に仕上がった。

■東京大学柏キャンパス生産技術研究所

 01系最後の現役車両となった第30編成のうち、01-630(6号車)が東京大学柏キャンパス生産技術研究所に移り、研究用車両として活用されている。また、秋には一般公開が行なわれている。

第30編成

現役終盤の01系第30編成(写真の先頭車は01-630)

 蛇足ながら、01系の詳細については、拙著『波瀾万丈の車両』(アルファベータブックス刊)もご参照いただければ幸いである。

<取材・文/岸田法眼 取材協力/東京地下鉄>

レイルウェイ・ライター。「Yahoo! セカンドライフ」の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、ムック『鉄道のテクノロジー』(三栄書房)『鉄道ファン』(交友社)や、ウェブサイト「WEBRONZA」(朝日新聞社)などに執筆。また、好角家の側面を持つ。著書に『波瀾万丈の車両』『東武鉄道大追跡』(アルファベータブックス刊)がある

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