AIG損保、サントリー…大企業が“転勤の強制”を見直しはじめた理由
全国に支社を持っている大企業で働いている人にとって避けられないのが転勤なのではないでしょうか?
さまざまな事情を抱えたサラリーマンが少なくない現在、転勤の有無が仕事選びの際に重視するポイントにもなっています。3月12日放送の『クローズアップ現代+』(NHK)では、転勤を廃止したAIG損害保険株式会社の取り組みが紹介されました。
全国転勤を原則廃止したAIG損保
全国に200の拠点を持ち、7000人の社員を抱えるAIG損害保険株式会社は、来月から「全国転勤を原則廃止する」ことを決定しました。
日本全国を地方ごとに11のエリアに分割し、社員に希望の勤務地を聞き取ります。選択したエリアに社員が配属されると、今後の転勤は(新幹線を除く)公共交通機関で90分以内の距離に限られます。そのため、引っ越しを伴う転勤は無くなるという仕組みになっています。
この取り組みを始めた理由をAIG損害保険は「他の会社とは違う制度というか仕組みというのを持っていないと、いい人をひきつけられないというのはあると思います」と番組の中で説明しています。
日本全国に転勤することが難しいという事情を抱える人が増え、このままではなかなか質の高い人材を集めることは難しいという状況があるようです。
また、転勤に関する制度改革の取り組みは、AIG損害保険だけではありません。飲料大手のキリンでは「転勤を最大で5年間猶予される」という仕組みを導入しました。また、同じく飲料大手のサントリーでは「5年から10年先の転勤希望について、上司と部下が毎年話し合う制度」が導入されています。
働く人にも自立が求められる制度
この制度は今年が初めてということもあり、課題もないとは言えないようです。東京や大阪といった大都市圏への配属を希望する人が、全体の6割を超え、地方のポストが埋まらないといった課題が浮かび上がりました。
さらに、社員のサイドも、きっちりと今後のキャリアプランを描くことを求められます。
好きなところに住むことができるのはメリットではありますが、それ以上に自分のキャリアに対して自分自身が責任を持って選択していかなければなりません。