厚労省の統計不正「誤差だと思った」…役人たちのボンヤリ発言に驚く
「政策に影響するものとは思ってなかった」
NHKの取材に応じた厚生労働省元統計担当の男性は「あそこまで政策にはねる(影響する)ものだとは正直思わなかったのでびっくりした」と答えており、これが現場の官僚の正直な声なのだろう。
さらに、保険の給付の額にまで影響するというのも「ニュースで初めて知った」と発言し、認識の甘さがあったと断定せざるを得ない。
大和総研エコノミストの小林俊介さんはNHKの番組に出演し、「日本という国そのものの信頼が損なわれかねない」と指摘。前出の報告書でも「日本の行政組織の信頼そのものを大きく揺るがしかねない」とある。
統計データの不正の影響は国内に留まらず、アメリカの著名投資家、ジム・ロジャーズが日本からの撤退を検討しているという。政府や官僚が想定しているよりも海外の目は厳しく、さまざまな悪影響を日本に与えそうだ。
失った信頼の回復はできるのか?
共同通信社が1月12、13日に実施した全国電話世論調査によると、政府統計を「信用できない」との回答は78.8%に上った。「信用できる」は10.5%しかない。
それから1か月ほど経った、2月16~17日に、朝日新聞が実施した全国電話世論調査によると、政府統計の信頼は「揺らいだ」との回答は67%、「そうは思わない」の回答は21%だった。
多少は持ち直してきているものの、いまだに半数以上の国民が疑念を抱いている状況に変わりはない。
「またか…」インターネットでは落胆の声
「厚労省の仕事、本当に杜撰だなあ。今に始まったことではないけれど」
「安倍首相は、事の重大さを理解しているとはとても思えない」
「またか、としか言いようがない。国民はダマされてばかりだ」
インターネット上では、政府に対して不信や失望の声が少なくない。
一刻も早く是正しなければ、国内はもとより、国外からの信用を失ってしまう結果になりかねないこの事態。信用を完全に失ってしまう前に、政府が早く解決してくれることを期待したい。
<TEXT/湯浅肇>