ホメ殺しで、インターン生の時給400円。学生が進んで社畜になる実情
ホメ殺しで「その気にさせる」のは常套手段
「夏休み中だったこともあり、当初の1日6時間という約束を完全に無視して、毎日10時間以上働いていました。部長は6時になると『上がっていいよ』と言いましたが、自分が担当する案件もありましたし、1人だけ先に帰ることが申し訳ないと思っちゃったんです」
ただし、これは彼の人柄や性格などを見抜いて会社側が仕掛けたフシも。そのことを同僚のある社員から知らさたそうです。
「ある晩、帰りの電車でたまたま一緒になった20代後半の社員さんから『ホメ殺しでその気にさせて働かせるのは社長や部長たちの常套手段。気をつけたほうがいいよ』って言われたんです。でも、そのときはピンと来なくて適当に受け流していました」
しかし、社員とほぼ同じ労働時間だったにもかかわらず、月の給料は8万円。あまりの安さに大野さんも疑問を抱くようになります。
時給換算すると400円以下。それで目が覚めた!
「時給に換算したら400円以下。それで先日忠告してくれた社員さんに相談したんです。そしたらほぼ同じ労働時間なのに給料は手取りで22万円で、ようやく自分が搾取されていたことに気づきました」
会社からは後期の授業が始まってもアルバイトとして可能な範囲で仕事を続けてほしいと懇願されたそうですが、両立は難しいとして固辞。でも、適切な賃金の支払いを求める請求はしませんでした。
「本当な請求すべきなんでしょうけど、揉めるのが嫌でできませんでした。一応、いろいろと面倒を見てもらったのは事実ですし、感謝している部分もあるので。けど、ブラック企業ってパワハラみたいなケースばかりをイメージしていたので、意外だったのと同時に怖いなと思いました。自分自身、未だに会社や部長たちを恨み切れずにいるので」
ブラックインターンには無給で働かせるケースもあり、それよりはマシとはいえ法定賃金以下の時給で働かせていたのは事実。これからインターンを考えている学生は、タダ働きさせられないように賃金などの条件をしっかりと確認しておきましょう。
<TEXT/トシタカマサ イラスト/Yopsymi(@Yopsymi)>