スマホで払う時代の悪夢…友達まで信用格付けで選ぶ中国流が、日本にもジワジワ
中国では、個人のさまざまな情報をAIで点数化し、格付けする「ゴマ(芝麻)信用」というサービスが、若者を中心に流行しています。
まるでSF映画の世界ですが、ゴマ信用のスコアは、サービスの利便性の向上以外にも、現実の人間関係に影響を及ぼすことさえ少なくないようです。そんな新たな“格付けサービス”について、2月12日放送の『クローズアップ現代+』(NHK)で取り上げ、話題になっています。
中国で普及しているゴマ信用とは?
そもそもゴマ信用を運営しているのは、中国において圧倒的なシェアを誇っているIT企業「アリババ・グループ」です。アリババが運営しているモバイル決済サービス「アリペイ」に搭載されている信用情報管理システムをゴマ信用と呼び、約7億人が利用しています。
中国では、日本よりもモバイル決済サービスが浸透しており、さまざまな金銭授受に使われているため、購買履歴や、口座残高、ローンの支払いなどを容易に把握することができます。ゴマ信用では利用者の学歴、所有車、犯罪歴、人脈などの個人情報をポイント化し、950点満点で格付けしています。
この格付けのスコア次第によって、アリババが提携する企業や団体からサービスを受けられます。点数が高ければ、病院を優先的に予約できたり、低金利でローンを組めたりすることができるそうです。
かつての中国は、政府の有力者とのコネが重視され、政治家への裏金が横行する部分がありました。そのため、個人を評価する客観的で公平な基準が求められる土壌があり、急速に広まった模様です。
現実の人間関係にも影響が…
ただし懸念材料もあります。アリババは、点数の増減の具体的な基準については明かしておらず、さまざまな憶測が飛び交っているのです。
そのため、ゴマ信用がこれまでの人間関係に影響を及ぼすことも少なくなく、番組内で紹介されたタクシードライバーの男性(28歳)は「点数の低い友人と交際していると、自分の信用にも影響する」という噂を聞きつけ、評判の良くない友達をSNSから削除したそうです。
番組の取材班が「何年も友達なのに後悔しませんか?」と尋ねても、事もなげに「後悔なんてしません」と答えています。