23歳が「3度の少年院生活」を経てトップ営業マンに。更生のきっかけは?
営業は「売ろうとしなければ売れる」と気が付く
現在は、午前中に出社して見積りや発注、電話のフォローといった業務を済ませ、午後には個人宅のインターフォンを押して訪問販売をする毎日。しかし、始めのうちは「試行錯誤を重ねていた」と苦労を明かします。
「始めの3日間は先輩と一緒に回っていましたが、そこからは自分なりに工夫していきました。先輩からは『仲よくなることが一番だ』と教えられたけど、住民の方が出てきても何を話せばいいかが分からなくて。
就職してしばらくは寮生活だったので、帰ってきてからは先輩に協力してもらいロールプレイングをしたり、本や動画で“営業とは何たるか”をひたすら勉強していました」
そこから初めて自分で契約を取れたのは、2か月ほど経ってからでした。
「トイレを改装する案件だったのですが、すごく嬉しかったのは今でも覚えています。たぶん自分が変われたのは『売ろうとしなければ売れる』という鉄則に気付いたからですね。そこからは、自分なりのコツをつかんでいきました」
成功のカギは「結果に一喜一憂しないこと」
断られることも多いという訪問営業ですが「結果に一喜一憂することなく取り組めば楽しいはず」と、自身の哲学を語ります。試行錯誤を重ねていた一方で、心の中では初めから「自分ならできるという、根拠のない自信があった」と話します。
「何となくですけど『成績は毎月トップを走り続けられる』という自信があったんですよ。その思いが根底にあり、なおかつ今の仕事を続けていられるのは、断られても『この人は自分の良さを分かってくれなかっただけ』とどこか前向きに捉えようとする思いがあるからかもしれません。
また、この手の仕事は『どんな人が出てくるのかな』『怪しまれるかな』と怯えてしまう人たちも少なくないんですけど、僕にとっては逮捕されるわけでもないし、少年院に戻ることもないという気持ちがあって。怖いものがないという部分では、過去の経験が活きているような気もします」
仕事を通して「自分が犯罪に手を染めていた当時、強盗や恐喝でお金を奪われた人たちの悲しさも分かるようになった」と口にした望月さん。
将来は「最低でも年商10億円。何でも商材として扱える会社を立ち上げたい」と話しますが、胸を張って好きといえる仕事に今日も邁進しています。
<取材・文・撮影/カネコシュウヘイ>
【望月優矢】
1996年、山梨県生まれ。小学校3年生から養護施設で育ち、中学で非行に走り21歳までに計3回、合計4年の少年院生活を送る。2016年にNPO法人クラージュの子会社である設備会社に勤務。トップ営業マンとして活躍中。「もちゆうの更生日記」を運営