少年院には3回入所…23歳で年収1000万円・トップ営業マンの壮絶な過去
なぜ罪を繰り返してしまったのか?
「結局、悪いヤツしか友だちがいなかったので、寂しかったんですよね。周囲に友だちのいない場所で当時の自分は働いていて、でも、SNSを見ると昔からの友だちが楽しそうに過ごしている。だんだんと心の中で葛藤がふくらんでいき、ある日ふと友だちからの『もう少年院を出てきたの?』というメッセージに返したのがきっかけで、故郷に遊びに行ったら帰りたくなくなってしまいました」
再び空き巣や恐喝、傷害へ明け暮れる日々へと戻り、二度三度と逮捕されて少年院と一般社会を行き来した望月さん。21才で出所したのを最後に、2年が経った現在は「もう犯罪に手を染めようとは思わない」と語ります。
「1度目から2度目、2度目から3度目はだいたい半年ぐらいの間隔だったんですよね。だから、出所して2年間も経っているのは自分としては最長記録です。
その当時は生活の大半が犯罪だったけど、今はもう営業という仕事が好きなので、あの生活に戻るつもりはまったくありません。空き巣でお金を稼ぐというのと、人に喜んでもらえてお金を稼ぐのではやりがいも全然違います」
3度目の少年院を出て、人生の転機が訪れる
更生の転機となったのは、犯罪に手を染めた青少年の自立支援を手がけるNPO法人「クラージュ」に受け入れてもらったことだったといいます。
「少年院は身元がハッキリしないと出所できないのですが、3度目ともなると父親から『地元に戻ってくると、また悪いことをするから帰ってこないほうがいい』と言われてしまって。それで、クラージュに『仕事をやらせてください』と志願したんです。そこからは生活も一変しましたね。営業の仕事で稼げるようになり、今、同棲している彼女という守るものもできました」
自身の経験から「犯罪は生活に浸透すると習慣づいてしまう」と、話していた望月さん。周囲にはいまだ「刑務所で暮らしている仲間もいる」と語りながら、インタビュー中、現在の仕事を通して「自分でお金を稼ぐようになり、空き巣や恐喝の被害に遭った人たちの悲しさが本当の意味で分かりました」と本音を明かしてくれました。
更生できるよう支えてくれた人たちへの感謝を胸に、今では年間約1億円を稼ぐトップ営業マンとして活躍しています。
<取材・文・撮影/カネコシュウヘイ>
【望月優矢】
1996年山梨県生まれ。小学校3年生から養護施設で育ち、中学で非行に走り21歳までに計3回、合計4年の少年院生活を送る。2016年にNPO法人クラージュの子会社である設備会社に勤務。トップ営業マンとして活躍中。「もちゆうの更生日記」を運営