大坂なおみが米国籍を選んだら東京五輪はどうなる?迫る国籍選択のリミット
「国籍を選択しない」メリット・デメリット
二重国籍を保つことにはどんなメリットがあるのでしょうか? 森山弁護士はこう解説します。
「メリットとしては、両国のパスポートを取得することができるため、ビザなしで長期滞在が可能となります。ただ、それにはパスポートの使い分けをしたりなど煩雑な点もあります。逆にどちらかを選択すれば、離脱した国の選挙権は失い、パスポートがひとつになり、離脱した国への長期滞在にはビザ申請が必要となってきます」
また、二重国籍のままでいると税金面での問題があるといいます。
「日本とアメリカの二重国籍の場合、アメリカでの確定申告・納税も必要となる場合があります。また、あまり知られていませんが、アメリカではある一定条件を満たした国籍離脱者に対し、国籍離脱税というものが課税されます」
また、韓国のように兵役義務のある国との二重国籍の場合は兵役を課される可能性もあるといいます。
大坂選手の活躍により、論じられることの増えた二重国籍ですが、これは決して珍しいことではありません。また、本人の意思に関係なく、そもそも選択することが不可能というケースもあるとか。森山弁護士がその理由を話します。
「国籍を離脱するのが困難な国が存在しているためです。したがって現実には、定められた期限である22歳を過ぎても二重国籍を有する人が存在することになります」
昨今の外国人労働者の受け入れ拡大の流れのなかで、さまざまなルーツを持つ人が日本に増えることが予想されます。国籍について考える場面は今後さらに増えていくのではないでしょうか。
<取材・文/菅谷圭祐>