サービス残業を強要する上司vsそれを無視する社員の仁義なき戦い
残業拒否で会社のやり方に抗議
その後、相馬さんは思い切った行動に出ます。なんと残業を拒否し始めたのです。
「もちろん、まったく残業しなかったわけではありません。自分の作業のルーティンを徹底的に見直して効率化を図り、昼休みもパンをかじりながら仕事。今まで以上に集中して作業に取り組むようになった結果、月15時間程度の残業に圧縮することができました」
ところが、上司はそれを快く思わなかったといいます。
「『まだ他の連中が仕事しているのにお前だけ帰るのか!』とキレ気味に言われました。同僚より明らかに多くの仕事量を処理しているのに給料はほとんど変わらないし、これ以上身を削る義理はないと思いました。
過去の分も含めて残業代を全額支払ってくれるなら追加の仕事でも何でも引き受けますけど、『そうじゃないならタダ働きは嫌なので帰ります』と啖呵を切ってしまいました(笑)」
退社覚悟の態度に会社側が謝罪
すると、今度は上司から報告を受けた社長が恫喝してきたそうですが、「クビにしたければしてもらって結構。ただし、正当な理由がなければ然るべき措置を取ります」と言ってのけたとか。
それまで従順で文句ひとつ口にしなかった相馬さんの変わりように会社も焦ったのか、父親の葬儀で休みを認めなかったことを謝罪。これを受け入れたうえで退社したそうです。
「退職金が出るような年齢じゃなかったですけど、会社からはなぜか給料2か月分に相当するお金をもらいました。サビ残の分には全然足りませんが、口止め料代わりのつもりなのでしょう。ここで喋っちゃいましたけどね(笑)」
決して簡単なことではありませんが、ブラック企業にはやはり毅然とした態度で臨むのがいいのかもしれません。
― 特集・ブラック企業の辞め方 Vol.3 ―
<TEXT/トシタカマサ イラスト/zzz(ズズズ)@zzz_illust>
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