会社をすぐ辞めた20代が、「若者は根性なし」説に反論する
「最近の若い人は堪え性がなさすぎると思いますね。少し仕事で失敗したり、上司に叱責されると次の日には会社に来ない。なんてザラにありますよ」
そう話すのは、都内不動産企業の人事を務めるAさん(仮名・40歳)です。確かに「最近の若い奴は仕事が続かない」という話はチラホラ聞くことがあります。
ですが、すぐに仕事を辞めてしまうことのすべてが「根性なし」や「堪え性がない」で片付いてしまうとは思えません。若者たちにも意見はあるでしょう。そこで、新卒で入社した会社をすぐに退職し、現在は新天地で働く男女2人に、仕事を辞めた理由と「仕事が続かない若者」と言われることについての意見を聞いてみました。
一斉に同じ仕事をすることに疑問
現在、都内スタートアップ企業で広報を務める大谷俊樹さん(24歳・仮名)は、新卒で入社した大手人材企業を3か月で退職したといいます。
「学生時代、友人に誘われたことがきっかけで創業して日の浅いスタートアップ企業でインターンをしていました。インターンとはいえ、新しいWebサービスの企画なども提案でき、自分で考えながら常に思考錯誤ができる環境で、仕事が楽しすぎました」
こう語る大谷さん。しかし新卒で入った企業は、何もかもイメージと違ったそう。
「仕事内容がすべて決まっているのが耐えられませんでした。決まった仕事を同期が一斉に『よーいドン!』でやり出すというのがすごく嫌でしたね。簡単に言うと仕事がつまらなかったです。結果すぐに辞めました」
せっかく入社できた大企業。「仕事がつまらない」という理由で辞めることへの躊躇はなかったのでしょうか。
「一切ないです。親や周りの友人からは『もったいない』と言われましたが、つまらないと思いながら働いている方が、よっぽど人生の無駄だと思ったので」
逃げるなら早い方が良い
入社して日の浅い内に退職してしまった大谷さん。世間で言う、「仕事が続かない若者」に括られてしまったことも当然あったそう。ですが、「それはおかしい」と大谷さんは言い切ります。
「先ほど親から『もったいない』と言われたと話しましたが、『そんなすぐに辞めたら何にも続かないぞ』とも言われました。でも、自分に合う合わないってどんな人にも必ずあると思うんです。自分が合わないところで我慢し続ける。それが本当に『正解』なんですかね?
もし、それが正解、それが美徳であるならおかしいと思います。嫌なら一瞬で辞めろとまでは言いませんが、辞めるのであれば早いほうが、企業のためにも自分のためにも絶対に良い。今は色々な働き方があるし、すぐに辞めてもお金を稼げる手段はたくさんあると思います」