【弁護士に聞く労働問題】残業代が払われない!どうしたら払ってもらえる?
日々働いていると、職場でハラスメントやトラブル、不当な扱いなど、理不尽な問題に直面することは避けられないことかもしれません。そんなとき、自分一人で対処するのは難しいものです。専門家である弁護士に相談し、法律に基づいたアドバイスを受けることで、問題をスムーズに解決する手助けとなります。bizSPA!フレッシュでは、労働問題に関するよくある質問をピックアップして取り上げていきます。今回は、「残業代の不払い」について、アディーレ法律事務所の岩井直也弁護士に解説していただきました。
目次
Q1. 残業代が払われていないので払ってほしいのですが、どのようにしたら払ってもらえますか?
A1. 「ただ払われていない気がするから払ってほしい」では応じてもらえないでしょう。したがって、会社を説得するために、具体的にいつ時点の残業代が何円支払われていないのか、根拠と共に説明する必要があります。
残業代の計算方法は労働基準法や会社所定の就業規則に記載されているため、それを参考に計算していくことになります。自身で計算することが難しい場合は、労働基準監督署に指導を仰いだり、法律事務所に頼んで計算し、会社と交渉、ケースによっては裁判手続を行い、未払いがあるということになれば、その分の残業代を払ってもらえます。
Q2. いつの分まで遡って払ってもらえるのでしょうか? 時効はありますか?
A2. 残業代には消滅時効というものがあるため、一定の期間請求をせずに放置してしまうと、未払いの残業代があるとしても法律上、請求できなくなります。
その期間は給与支給日を基準として3年とされています。したがって、給与支給日が末日締め翌月25日払いの会社の場合、例えば2024年1月1日現在を基準とすれば、2021年1月25日に支給される給与(2020年12月分の給与)からが請求できる部分となります。
Q3. 残業代は何時間以上働いたら出るのでしょうか?
A3. 労働基準法上、原則として1日8時間、及び1週間に40時間以上勤務した場合、それぞれの時間を超えた部分に対して残業代が発生します(ただし、変形労働時間制など特殊な方法で労働時間を計算しなければならない場合は、この限りではありません)。
これに関連して、「みなし残業代」という制度を解説します。これは、残業が発生することが事前に想定されるような業務において、予め想定される残業時間分だけ定額の残業代を支払うという制度です。
例えば、毎月20時間分の残業代を定額で支払うという雇用契約になっていれば、ある月の残業代が20時間に満たない場合でも20時間分の残業代が支給されます。なお、実際に20時間を超える時間残業した場合は、20時間を超える部分について残業代を追加で請求できます。
[協力]
アディーレ法律事務所