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【専門家に訊く】Z世代を狂わす「めちゃめちゃ圧がかかる職場」〜いつも自分が正しい“パワハラお子ちゃま上司”への対処法〜

コラム

次世代を担うZ世代が職場でぶつかるのは、古き時代からのレガシー。その1つが、部下に対し、異様に強い上司。パワハラやモラハラをするも、悪びれたものがない。今回はそんな上司にかき回され、苦しむZ世代の男性を取り上げる。

パワハラ上司

※画像はイメージです(以下同)

本記事の前半で具体的な事例を、後半で心理セラピストで、心理問題研究家の大鶴和江さんにインタビュー取材した内容を掲載する。事例は筆者が取材し、特定できないように加工したものであることをあらかじめ断っておきたい。
 
 読者諸氏は男性や上司、職場から何を感じるだろう。

【事例】一流コンサルティング会社に勤める吉竹さん(仮名・27歳)

パワハラに悩む会社員

 4年前に新卒(大卒)として、一流コンサルティング会社(正社員数450人)に入社した吉竹武明(仮名・27歳)はこの数年、上司に苦しみ抜いてきた。

 入社時から配属は事業推進部。部員は部長以下、12人。部長である上司は、40代半ばの男性。政治家や芸能人の息子や娘が通う名門私立大学の中学校から大学に進み、有名な財界人だった父親の縁故でこのコンサルティング会社に入社した。

 父親は数年前に亡くなったが、地方に拠点がある大手メーカーの社長、会長を歴任し、かつては経済界をリードした。こんなファミリーの出身であるので、上司は「お坊ちゃま君」と社内ではささやかれている。

パワハラ上司 キレる

 常に自分が他人に対し優位でいないと、露骨にふてくされる。時に興奮し、キレる。人間関係を「勝ち、負け」でとらえ、勝たないと、気がすまない。仕事の議論が始まると、意見を押し通すまで顔が青ざめながら2時間以上話し続ける。

 なぜか、20歳も年下の吉竹を目の敵にしていた。他にも優秀と思われる部下には厳しくあたり、仕事ができずにおとなしい人をかわいがる。

 事業推進部では、多数のクライアント企業に向けて月刊誌を編集制作する。そこでは月1回のペースで、経営者どうしの6ページの対談を載せる。吉竹が企画、取材(対談の司会進行)、原稿作成、印刷までを担当する。大学4年間、出版社でアルバイトをしていた際に、インタビューや対談、座談会を仕切る編集者の手伝いをすることが多かった。

 20代前半からコンサルタントであった上司は、雑誌の編集に関わった経験がない。ましてや、対談や座談会の仕事をしたことは1度もない。だが、「何十回も経験してきた」「俺はやってきた!」と豪語する。吉竹の企画、取材、原稿作成の隅々に口を出す。その指示や意味がまったくわからず、吉竹はどうしていいのか、わからない。

 部員全員が参加する会議で「本当にこの仕事の経験がおありでしょうか?」と口にしたところ、完全にキレた。興奮して涙を浮かべながら、大声を出す。

パワハラ上司 興奮

「俺はやってきた!」「俺はやってきた!」

 その日の晩、部員全員が帰った午後9時を過ぎてから、吉竹のスマホにメールを送りつけた。

「不愉快な思いをさせられた。明日は、謝ってくれ」

 翌日、上司は誰もいない会議室で謝罪をしつこく求めてくる。吉竹は尋常ではない、と思った。

 その後も、対談や座談会の仕事に介入し、問題にぶつかると「吉竹が未熟だから、できなくなった」と逃げる。解決すると、また介入する。

 上司は、ふだんから自分のもとにすべての情報がきて、その全部に意思決定をしないと気がすまない。部下が独自で判断することを許さない。副部長は2人いるのだが、絶対に権限を与えない。職場はまったりとした雰囲気が漂い、部下が上司の顔色を常にうかがう空気が充満している。

 吉竹は、もう辞めたいと思っている。

「こんな会社は嫌だ…」

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