“大手製紙メーカー”で大規模リストラ。黒字予想から「純損失300億円」に急転したワケ
ティッシュペーパー「エリエール」や、紙おむつ「グーン」で知られる大王製紙が苦境に陥っています。期首に2023年3月期通期の営業利益を250億円、純利益100億円と予想していましたが、140億円の営業損失、300億円の純損失(連結)へと一転させたのです。大王製紙が赤字を出すのは2012年3月期以来となります。
大王製紙は2023年2月1日から14日にかけて、希望退職者を募集します。募集人数は定めておらず、迅速に組織のスリム化を図る計画です。何が起こっているのかを決算資料等から読み解いていきたいと思います。
原材料と燃料高が300億円近く利益を押し下げ
大王製紙は通期の業績予想を赤字に下方修正しましたが、実は売上高は期首に予想していた6500億円から6600億円に引き上げています。2022年3月期と比較して7.8%の増加です。
大王製紙を苦しめているのが、急速な燃料高と円安の進行。特に本業に必要不可欠な燃料高に悩まされています。
大王製紙の赤字要因は…
主力となる段ボールなどの紙・板紙事業においては、上半期で燃料高が225億円の下押し要因になっています。ティッシュペーパーなどのH&PC事業も72億円押し下げられています。
製紙産業は高いエネルギーが必要不可欠。原料となるチップを高温・高圧で溶かす必要があるためです。大王製紙はその過程において、大量の石炭を使用しています。2022年8月の石炭価格は、ドルベースで前年同月比2倍以上に跳ね上がっています。そこに円安の影響が重なるため、甚大な影響を受けているのです。