身近な人が統一教会に入信したらどうすべき?霊感商法対策の弁護士が警鐘
旧統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)の問題をきっかけに、カルト信者二世の窮状が問題になっている。自ら望んだわけではない環境から抜け出すのは、想像を絶する苦労があるだろう。一方でまた、家族や身近な関係の人が旧統一教会の信者になってしまったとしたら、その心労も計り知れない。
このような場合、どうしたらいいのだろうか。カルト被害者の救済をしている全国霊感商法対策弁護士連絡会の阿部克臣弁護士に話を聞いた。
強く否定するとより頑なになる
――配偶者や子どもが入信してしまった場合、どうすればいいでしょうか。
阿部克臣(以下、阿部):多くのかたは「とんでもないところだから行くな」と叱り飛ばしたり、怒ったりして論理的に説得しようとします。「もう二度と行かないと念書を書かせました、このあとどうすればいいでしょうか」といった相談もあります。
一般的な旧統一教会に対する悪いイメージからして、強く否定するのは当然ですが、そういうやり取りをすると本人はより頑(かたく)なになって戻って来ない可能性が高いです。
――勧誘されるときに、自分のすべてを受け入れられる肯定感を与えられるので、否定は逆効果ですよね。
阿部:旧統一教会教会員は、献金することで家族が救われると思って善意で活動しています。みなさん人一倍真面目で素直で実直、家族思いです。家族や先祖、子孫、ひいては世界を救って平和にするために一生懸命やっているので、頭ごなしに叱りつけるのは逆効果なんですね。
旧統一教会教会員はまじめで素直
――みんなのためを思ってやっていることを否定されたら意固地になってしまいますね。
阿部:はい。教団側も組織的に脱会への対策を取っていますし、脱会したと偽装させることもあります。大事なのは、教会がどういうことを教えていて、信者がどういう気持ちなのかを勉強して理解した上で話し合い、対話を重ねることです。信者のかたは、ご家族の関係がうまくいっていない場合も少なくないです。
夫婦仲がよくない、親子の関係がうまくいっていない場合などは、家庭そのものを修復する必要があるんです。人生に大きな迷いが生じているというかたも多いです。家庭や人生の問題をまず解決しないと、帰って来られません。帰ってきたとしても、自分が受け入れられていないと感じればまた信者に戻ってしまうこともあります。