防大卒エリートが挫折…「何者でもない自分」を受け入れた私に起きた心の変化
「陸上自衛隊」と聞くと、精神的にも、肉体的にもタフな人物をイメージするかもしれない。その一方で、元幹部自衛官としてエリートを目指して挫折し、現在は紆余曲折しながら生きているのが、Twitterフォロワー20万人超えの人気アカウントぱやぱやくん(@paya_paya_kun)だ。
今回、そんなぱやぱやくんの愛とユーモアにあふれた「ますらお(益荒男。本来はりっぱな男、勇気のある強い男の意だが、ここでは「陸上自衛官」を指す)ライフ」から、「心を回復させるメンタルハック」「気持ちを切り替える技術」などを紹介した新刊『自己肯定感低めの元幹部自衛官が教える「心が疲れない54カ条」』(PHP研究所)の一部を再編集して紹介する(以下、同書より抜粋)。
「自衛隊では出世しそうにないな」と痛感
さまざまな人から暖かくも厳しい指導を受けると、なんとか幹部として仕事ができるようになります。一方で、どんどん業務内容のレベルは上がっていきました。隊員の錬成計画、演習の計画、他部隊との調整、人員の調整…などやることはテトリスのように積み重なっていきます。
もちろん、勤務には充実感もありましたし「自衛官でよかったな」と思えることも多かったのですが、それ以上に忙しかったという記憶が強く残っています。ただ、少し落ち着くようになると以前「自衛隊では出世しそうにないな…」と痛感したテーマが、もう一度、私の目の前にやってくるようになりました。
ここでお伝えしたい前提として、防大卒の幹部自衛官は「組織内での出世」を求められます。昇任試験の合格を目指して勉強し、高級幹部への道を目指す必要があるのです。陸上自衛隊ではこの昇任試験の結果によって、将来のコースが大きく変わってきます。出世するためには「昇任枠」を勝ち取る必要があるのです。
幹部自衛官としてのキャリアの分かれ道
この昇任試験に合格するかどうかが、幹部自衛官としてのキャリアの分かれ道となっています。
ただ、私は優秀な同期や先輩、後輩と競争して、出世できる気がしませんでした。高い序列を目指したところで、高が知れているなと正直思っていたのです。結局のところ、私は「なんとか生き残ってきたタイプ」なので、ここからの大逆転はかなり難しいと感じました。軍隊で出世できない将校を「万年大尉」と言いますが、私はまさにそれでした。
おそらく幹部自衛官ではなく、専門性の高い部隊で陸曹をやっているほうがあっているな…と思っていましたが、すでに防大を出て幹部自衛官となっている以上は、そんなことは言えませんでした。