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100万円のバッグが3万円で…SNSで拡大する「偽ブランド市場」の現状

ビジネス

 偽ブランド品の摘発件数がコロナ前の水準に戻りつつある。素人では判別の難しい精巧なスーパーコピーは、数万円を超える金額で売られている。

偽ブランド品

業者による大量輸入は摘発対象となるが個人輸入は合法だ

 近年はインスタグラムなどSNSでの販売が目立ち、若者にも浸透している偽ブランド品。その知られざる販売・流通事情を追った

コロナ禍で再び増加傾向に

偽ブランド品

SNSやサイト上で堂々と販売されている偽ブランド品

 今、SNS上で偽ブランド品が猛威を振るっている。

 100万円以上するシャネルのバッグが3万円。定価約98万円のロレックス サブマリーナが7万円、10万円ほどで売られているジバンシィのスニーカーが1万5000円……

 インスタグラム上で堂々と「スーパーコピー」を販売するアカウントに問い合わせてみると、LINEに誘導され、価格や決済についてメッセージが返ってきた。さらには「どんなものでも(偽物を)用意する。欲しいものがあったら画像で送って」「税関で没収されない。合法だから安心して」とも添えられていた。

 こうしたアカウントは確認できただけでも100以上存在するが、インスタグラムだけではない。TikTokやツイッターでも堂々と販売され、さらにYouTubeやフェイスブックでも偽ブランド品の広告がわんさか出てくるのだ

偽物販売業者とはいたちごっこ状態

 警察庁の過去5年のデータを見ても、偽ブランド品の摘発件数はコロナ禍が始まった2020年にこそ大幅に減少しているが、2021年からは再び増加している

押収点数 推移

「国内のフリマアプリも現在、さまざまな対策を講じた結果、大きな成果を上げており、偽ブランド品の出品は一時的に減少した局面もありました。しかし、偽物販売業者も新たな抜け穴を見つけて再び増加している状況。まさにいたちごっこという感じです」

 こう話すのは、知的財産権の保護活動を行う一般社団法人「ユニオン・デ・ファブリカン」(以下、UDF)の堤隆幸事務局長。UDFは国内のフリマアプリやオークションサイトに対して削除要請を行っているが、昨年は58万6942件も要請したという。

 ただ、ひと口に偽ブランド品といってもその品質はさまざまだ。素人でも本物と見比べればすぐに偽物と判別できる衣料品のコピーなら、数千円で購入できる。一方で、ときに数万円を超える金額で売られているのが、素人では判別不可能な精巧なスーパーコピーだ。なかでも近年、流通しているのが、「N級品」と呼ばれる最上級コピー品だ

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