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600万円を踏み倒し…結婚式スタッフが見た「モンスター新郎新婦」

暮らし

 東京商工リサーチによると、2020年度(2020年4月〜2021年3月)の結婚式場の倒産件数(負債額1000万円以上)は、前年度比28.5%増の9件と、2年連続で前年度を上回りました。コロナ禍で苦境に立たされる結婚式場のサービススタッフですが、その裏側にはショッキングな出来事もあり、厳しい現実がありました。

結婚

※画像はイメージです

「当時、婚礼ラッシュで、次の日どんな披露宴なのか、どういったお客さんなのかをプランナーと打ち合わせするんですが、『この新郎新婦は離婚が決まっています』という衝撃的な発言をしたんです」

 そう語るのは、当時はまだ某ホテルのスタッフアシスタントだった4asamさん(31歳)。この仕事をした動機は、「人生の節目に立ち合って、一緒に式を作り上げていきたかったから」と話します。しかし長年働いていると、前述のような驚きの場面にでくわしてしまうとか。

離婚前提の披露宴

「『離婚するのはわかっているけど、披露宴を挙げます』なんて、えっ?という感じじゃないですか。両親が名家で、体裁だけで披露宴を挙げるようだったのが原因のようでした。上司と話して、サービススタッフには『新郎新婦は離婚する』と伝えずに、当日を迎えました。

 通常新郎新婦の控室は一緒だったり隣だったりするんですが、館も違うような別々の場所でした。また新婦がドレスを着た後に新郎にお披露目するのですが、新郎は『見なくて大丈夫です』という様子。すごく気まずかったのを覚えています。

 お客さんもおそらく(離婚することを)知りません。新郎新婦の両親もビールを出席者につぎ周りしていなかったので、本当に形だけでしたね。ただ、お色直しはドレスや打ち掛けなどもあって、なかなか凝った披露宴でした。そして謝辞ではなく、“今までありがとう”というVTRが流れ、披露宴はお開きになりました」

違う意味での涙を流す

4asam

某ホテルで働いているときの4asamさん(本人提供)

 銀行員や不動産、そして「お酒のつぎ周り」文化のある企業や学生時代の部活の人もいる結婚式は「荒れる」と語る4asamさん。式場のサービススタッフとして働きはじめた新人時代のことです。

「その新郎新婦はお互い銀行員だったのかな? その銀行は出席者一人ひとりが新郎にお酒を注ぐ文化があるらしく、新郎がめちゃくちゃ飲まされてベロンベロンになったんです。そして“結び”と言う感動のシーンで新郎が横になり出して……それで新婦が大泣きしてしまい、『こんな人いやだ!』にまで発展してしまったんです。それで一生懸命スタッフがなだめました。

 披露宴のなかでも一番感動する結びで、まさか別の意味で新婦が涙を流したのは今でも忘れられません。それから自分がキャプテンを担当する場合は、こんな事態にならないよう気をつけるようになりました」

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