1000円で和定食が楽しめる。磯丸水産に聞く「脱・居酒屋」成功のカギ
分厚く切られたまぐろ・鯛・サーモン・ブリの刺身が3切ずつ乗った盛り合わせに、イカの塩辛とひじきの小鉢、さらにあおさの味噌汁またはとろろうどんがついた定食が税抜1000円以下で……。磯丸水産を展開するSFPホールディングス株式会社が2021年3月から、食事メニューをメインにした新業態「磯丸水産食堂」を始めているのをご存じだろうか。
定食とセットメニューを30種類(ハーフサイズは除く)を揃え、もつ煮と刺身のセット、エビや季節野菜の天ぷら盛り合わせ、大ぶりのサバとホッケの焼き魚を半身ずつ組み合わせた定食など、税抜1000円以下でボリュームのある定食も提供する。
こうした種類豊富な定食に加え、磯丸水産で提供している通常のメニューも、昼夜問わずに提供する磯丸水産食堂。今回はSFPダイニング営業本部の金森英司氏に、磯丸水産食堂を立ち上げた経緯を聞いた(記事内はすべて税込表示)。
テーブルからコンロがなくなった
磯丸水産といえば卓上にコンロが置いてあり、お通しで出てくる小魚や練り物、注文した魚介類を自分で焼きながら、お酒を飲むイメージが強い。
しかし、磯丸水産食堂ではこうした居酒屋のコンセプトを崩すことなく、ランチをはじめとする食事メニューやテイクアウトに注力し、テーブルからコンロもなくした。コロナ禍による酒類制限で打撃を受けたことをきっかけに、昼時や家庭内での利用を促進する業態にシフトした。
今までとは違った客層が流入
もちろん磯丸水産でも、ランチやテイクアウトメニューで、海鮮丼やうな重、サバをはじめとした焼き魚、アジフライなどの揚げ物、うどんそばなどを提供しているが、磯丸水産食堂ではよりラインナップを拡充させた。
刺身ではアジ、焼き魚ではサバとホッケを半身ずつ乗せた定食、ブリやタイのカマ、揚げ物では天ぷら盛り合わせに鶏の唐揚げ定食などの新メニューを用意。さらに、もつ煮と刺身定食や、刺身を7種使った豪華盛り合わせ定食など、磯丸水産にはないラインナップも加えた。
「これまではサラリーマンや学生、シルバー層が主な客層でしたが、磯丸水産食堂では、新たに若い女性や主婦らの利用も見られます。主婦層のお客様からは『テーブルにコンロがないことで子供を連れて来やすい』『テイクアウトメニューが豊富で、晩御飯のおかずとして重宝している』と言った声をよく聞きます」(金森氏)