なぜ「IT業界はクソ」と言われてしまうのか?避けるべきブラック企業の見分け方
「手に職をつけたい」という理由から、ITエンジニア職を希望する人が増えている就職・転職市場。直近ではコロナの影響により、その需要はさらに高まってきています。
彼・彼女らの多くは、IT業界の将来性や自身にスキルが身につく安定性、自由度の高い働き方(リモートワークがしやすいなど)に惹かれITエンジニアを希望することが多いようです。
しかしその一方で、IT業界に「ブラックな環境」「闇が深い」といったネガティブなイメージを持つ人も少なくありません。そこで今回はIT業界が“闇”と言われてしまう理由や、「入社を避けるべき企業」「良い企業」の見分け方などを“転職のプロ”(@Seigo_uzuz)の立場から解説します。
IT業界全体の7割を占める「働き方」
まずIT業界の働き方(契約の仕方)について見てみましょう。IT業界には「システムインテグレーター(SIer)」「ITコンサル」「ベンダー」「SES」「自社開発」「派遣」「準委任」「請負」「受託」など、さまざまな働き方があります。聞き慣れない言葉も多く、少々わかりにくさを感じる人もいるかもしれません。
これらの中でとりわけ多いのが「SES」や「IT派遣」と呼ばれる働き方です。SES(IT派遣)とは「システム・エンジニアリング・サービス」の略で、自分が所属する企業ではなく、別の企業に常駐して働く勤務形態を指します。
ちなみに「SES」と「IT派遣」は、客先に常駐するという点において、働き方自体に大きな違いはありません。かつては「IT派遣」と呼ぶことが多かったようですが、近年は「SES」が浸透しつつあります。
エンジニアの採用は企業にリスクも
違いをあげるなら客先との契約形態です。「IT派遣」は派遣元の会社に正社員として雇用され客先で働きますが、「SES」は正社員に限らず業務委託やフリーランスとしても客先に常駐します。
IT業界では、これら「SES」や「IT派遣」と呼ばれる働き方が全体の7割を占めており、その理由は日本のIT業界特有のシステムにあります。今の日本では、一度採用した社員をそう簡単に解雇することはできません。仮に業績が悪化してもすぐに契約を打ち切れないのが現状です。
そういった背景もあり、プロジェクトのたび正社員としてエンジニアを採用することは、企業にとって大きなリスクが伴います。そのため多くの企業は自社で直接雇用せず、ニーズがある時だけ外部からエンジニアを集め、ニーズがなくなれば減らす調整を行います。このIT業界特有のシステムが「SES」や「IT派遣」といった働き方を増やす大きな要因のひとつとなっています。