竹取御殿、海峡…居酒屋「協力金終了→倒産」が連鎖。飲食店に近づく悪夢の大倒産時代
居酒屋「竹取御殿」「柚柚~yuyu~」を運営していたアンドモワ株式会社が、2022年4月6日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けました。負債総額は80億円。
さらにアンドモワの保証債務を含めて55億円の負債を抱えていた株式会社ApeXも連鎖して倒産しました。ApeXはレストラン「GLEAM」「ぷらっと」などの運営をしていました。
アンドモワは、コロナ禍の2020年6月に全店舗を休業して従業員のリストラを行っていましたが、オミクロン株の出現で事業環境は改善しませんでした。時短協力金が切れたタイミングでの倒産となったのです。
居酒屋を中心に飲食店の需要は回復しておらず、今回の大型倒産は序章に過ぎない可能性があります。中小企業コンサルタントの筆者が今後を分析します。
明暗がくっきり分かれた居酒屋の売上高
飲食店の売上高は明暗がくっきり分かれています。日本フードサービス協会が公開している外食産業の業態別売上高のグラフ(前年との比較を%で表示)を見ると、緊急事態宣言が発令された2020年4月に居酒屋(パブレストラン)を中心に売上高は激しく落ち込んだものの、2022年1月には150%超えて回復しているように見えます。
しかし、これは前年比です。2021年1月から2022年2月までの数字を2019年1月から2022年2月と比較すると見え方は違ってきます。居酒屋はGoToEatがあった2020年10月でさえ60%の水準に留まっています。
2022年もコロナ前比で売上高40%以下
このグラフをもとに計算すると、居酒屋の2021年1月から12月までの売上高はコロナ前比で29.3%です。月商400万円、年商5000万円の居酒屋があったとします。売上高は1465万円まで落ち込む計算です。
飲食店の家賃比率は売上高10%程度と言われており、家賃だけで500万円。人件費は30%が目安なので1500万円。家賃と人件費だけで大赤字になります。
当然、従業員やアルバイトの雇用は維持できません。そこで政府は事業の継続や雇用を維持するための助成金や協力金を用意しました。