脱ペーパードライバーの講習業者に予約が殺到するワケ「教習所より実践的」
「若者の車離れ」が叫ばれる昨今だが、「運転免許の取得率」自体は低くない。内閣府の『令和2年交通安全白書』によれば、20歳~24歳の免許取得率は73.2%、25歳~29歳は86.5%と依然高水準だ。
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しかし、免許を取得しても、運転をマスターしたとは言い難い。教習所の練習と実際の運転には差があり、運転の難しさから「ペーパードライバー」になることも多いからだ。
前回の記事では、筆者がペーパードライバー講習を受講した体験をまとめた。今回は、年間3500人にペーパードライバー講習を実施する合同会社サワムラガクの代表・沢村秋岳さんと、インストラクターの川内健司さんに、ペーパードライバーの現状や運転上達のコツなどを聞いた。
3人に1人はペーパードライバー?
日本のペーパードライバーの総数は、正確な統計などで把握されているわけではない。ただ、沢村さんは「免許保有者の総数などから、おおむね2500万~3000万人のペーパードライバーがいる」と推測する。免許保有者の3~4人に1人はペーパードライバーという計算だ。
都市部と地方では、ペーパードライバーの割合も変わってくるという。
「運転できないと生きていけない環境も多いため、ペーパードライバーになりにくいのが地方。対して、都市部の人は車なしでも生活可能なうえ、車を所有するコスト・運転難易度が高いことからペーパードライバーになりやすいのでしょうね」(沢村さん)
必要になってから練習をするのは少し遅い
特に、都市部の若者は「『車を運転できること』のステータス低下」「所得の低下」などの要因もあり、免許を取って2~3回運転したのを最後に、ペーパードライバーになるケースが多いという。
講習の受講者は、どういった動機から「ペーパードライバー卒業」を目指すようになったのだろうか。川内さんは「差し迫って運転の必要が生じている人が多い」と語る。
「最も多い動機は、子どもや親の送迎だと感じます。30代の半ばごろにライフステージが変化し、運転が必要になるのでしょう。就職活動や地方への転勤などで『車がないと仕事にならない』状況に追い込まれた方も多いです。若者の場合、レジャーや旅行目的の受講者も一定数います」(川内さん)