東洋水産「赤いきつね」、値上げの衝撃。海外即席麺事業は好調に推移も
「赤いきつね・緑のたぬき」「マルちゃん焼そば」「マルちゃん正麵」など食卓によく上る食品で知られる東洋水産株式会社。2021年12月7日に生めんなどの値上げ予定が発表されました。麺類に関しては6~13%の値上げを予定しており、日常生活への影響は避けられません。
本連載「ブラック企業アラート」では、東洋水産株式会社の公開情報から業績をグラフ化し、値上げの影響についても解説します。
「マルちゃん焼きそば」値上げの理由
東洋水産が各製品を値上げした理由は、主に「原材料費の高騰」によります。具体的には、「小麦粉、パーム油、容器など主原料価格」が高騰したため、と説明されています。そして、この原材料費の高騰による製品の値上げは、東洋水産に限った話ではありません。日清食品・シマダヤ・味の素・日本ハムなど、各種大手メーカーがこぞって値上げを発表しているのです。
つまり、原材料費の高騰は日本全体で起こっていることだとも言えます。
この動きを見るためには日本銀行調査統計局が発表している「企業物価指数(2021年11月速報)」が参考になります。国内企業物価指数は企業間で売買される物品の価格変動を示す指標で、11月の速報値は「前月比+0.6%(前年比+9.0%)」でした。なお、国内企業物価指数は2020年12月から毎月プラスとなっており、物品価格は一貫して上昇傾向です。
さらに海外から輸入する物資の価格の変動を現した輸入物価指数は、契約通貨ベースで「前月比+4.3%、円ベースで同+4.9%(前年比+44.3%)」と、大幅に上がっています。特に価格が上がっているのは、石油・石炭・天然ガス(寄与度3.71%)となっており、原油価格の高騰が影響していると考えられます。
なお、東洋水産をはじめとした各社製品の値上げは2022年3~4月に実施される動きとなりますので、製品値上げが家計を今すぐ直撃するわけではありませんが、値上げは避けられない動きです。ご自身の生活を守るためにも、企業物価指数の動きなど、今後の各種ニュースにも注目していくのがお勧めです。
業績:コロナ禍を乗り切ったか?今後に注目
続いて、東洋水産の業績推移を見ていきます。東洋水産の場合、決算期が「3月」のため、2022年3月期のみ6か月分の実績です。2017年3月期から、5期連続で売上は増加しており、コロナ禍と言われた2020年3月期・2021年3月期においても最終黒字を維持しています。
2022年3月期の第二四半期においても、最終黒字となっています。とはいえ、先述の原材料費高騰の影響は避けられず、2022年3月期は前期と比較して減益は避けられない情勢です。