「母と同じバイト先でゲンナリ」のハズが…人生観を変えた“ある一言”
親の存在というのは子供にとって大きな存在であり、かけられた言葉のひとつひとつが考え方や人生を左右してしまうことも少なくないようです。水本朱里さん(仮名・22歳)は、小さい頃から母親(49歳)に投げかけられる言葉に傷つき、自分のことを低く評価していたひとりでした。
高時給な葬儀屋のアルバイト
「結婚をキッカケに残業の多かった仕事を辞め、時給のいい、短時間のパートを探していたところ、久しぶりに帰った実家の新聞で、高時給な葬儀屋のアルバイトを見つけました。そのとき母が『すごく高時給!“お友達との応募も可”って書いてあるし、私も行こうかな』と言い始め、応募する意思を固めてしまったんです」
水本さんは、自分の友達の悪口を言ったり、自分の失敗を罵しったりする母親のことが苦手で、できればあまり一緒に居たくないと思っていました。ときどき実家に顔を出すだけでも、帰る頃には嫌な気持ちになっていることが多かったからです。
「あとはもう、母親か私、どちらかが落とされることを祈ることしかありませんでした。それなのに、2人とも採用になってしまったんです。そして、さっそく次の日から来てほしいと言われました」
パワハラ並み!上司の恐ろしい指導
イヤイヤながらも葬儀屋のアルバイトへと向かった水本さんは、眉間に深いシワが刻まれた50歳ぐらいの女性リーダーのもとで、母親とともに仕事を覚えることになります。そのリーダーというのが曲者で、遺族の前では神様みたいな表情と対応をするものの、バックヤードでは人柄が180度ぐらい変わる恐ろしい人だったのです。
「だから、新しい人が入っても1回や2回来たら辞めてしまって、残っているのはいつも、古いアルバイト数人と母と私だけでした。私的には、リーダーにキツく怒られることもしんどかったですが、母の罵りのほうがツラかったです。でも、葬儀屋のパートはかなり高額だったので辞めるという選択肢はなく、必死で仕事をしました」
リーダーは、覚えの悪い人間と動かない人間が嫌いだと常に口にしていて、何度か注意しても改善されない人に対しての態度はパワハラ並みだったとか。そんな状況が1か月ぐらい続いた頃、水本さんと母親はリーダーに「2人だけ残って会場の掃除をするように」と言われます。