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罵倒、脅迫、タイマン…「携帯の延滞金催促」は最悪な職場だった

コラム

「お客様に何を言われても、決して怒らないことが私の仕事でした」

 3年前まで大手携帯電話会社のコールセンターで、派遣社員として働いていたという稲石辰雄さん(仮名・44歳)がこう話す。稲石さんの仕事は、料金の未納で電話を止められた利用者からの電話を受け取り、支払いの督促をすることだった。

コールセンター

※イメージです(以下同じ)

ウザ絡みしてくる「料金未納」利用者

 大半の利用者は素直に支払いをしてくれるが、一部は怒鳴る、罵倒するなどウザ絡みをしてくるという。それに対し稲石さんをはじめ多くの社員が、ついつい“反論”してしまいトラブルに発展する、失言だらけの職場だった。ウザ絡みしてくる利用者で一番多かったのは、ヤカラ系の男性で、こんなやり取りが多かったという。

「大変お待たせ致しました。〇〇サービスの稲石です」
「おい、電話止まっちまってるんだけどぉ~?」
「お客様、大変申し訳ございません。今お調べ致しますね」

 どうせ払っていないに決まっているが、一応調べ、少し間をあけて電話に戻る。

「お客様がお使いになられているお電話は、ただいまお支払いが確認されておらず、大変申し訳ございませんが、当社のほうで止めさせていただいております」
「どうすんだよぉ? お前が止めたせいで仕事できなくなってるんだけど? どうしてんくれんだよぉ? その分の給料払ってくれんのかよ?」
「そういったことは大変申し訳ございませんが、お受けできません」
「できねえってなんだよおらぁ!」

みんなついつい言い返してしまう

職場 ブラック

 このような利用者でも怒りが収まるまでひたすら謝り続けて、料金の支払いをしてもらわなければならない。ほとんどの社員は心を無にして、無難な対応をしていたというが……。少ない日は2件ほどしか電話を取らないが、多いときは10件以上。しかも運悪くクレーマーにあたれば、1件2時間を超えるときもある。ウザ絡みが続くと、稲石さんもついつい言い返してしまうことがあった

「まともな客が何人か続いた後に変な奴が来ると、ペースを乱された気がしてとてもイライラするんだよね。『お客様が異常でして、ほかのお客様はそういうことないんですよー』と言い返したことがある。

 そしたら、『お前、学歴ないだろ?』って喧嘩を売ってきたから、『大変申し訳ございません。私の家系は代々学歴の高い家系でして』って謝ってやったよ。俺は高校を中退して大学にも行っていない身なんだけどね」

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