街ピアノ動画でブレイク。音大卒から“2度挫折”したハラミちゃんの逆転人生
2020年、ストリートピアノを演奏する動画が一気にバズった。即興でピアノを弾くのはポップスピアニスト・ハラミちゃんだ。YouTubeをスタートしてから、約1年半で登録者数は112万人、総動画再生回数はなんと2億回を超える。なかでも、広瀬香美と『ロマンスの神様』をコラボした演奏動画は、1000万回近く再生されて大きな話題になった。
音楽大学出身の彼女だが、実は順風満帆な音楽人生を歩んできたわけでない。一度は音楽を諦めて、一般企業への就職。そして、心を壊して引きこもりの毎日を送っていたという過去もある。紆余曲折を経て、なぜ再び音楽の道に戻ってきたのか――。本人に話を聞いた。
漠然とした気持ちで音楽大学に入学
――ピアノは何歳から始めたんですか?
ハラミちゃん:4つ上の兄が近所のピアノ教室で習っていて、その兄に憧れて4歳のときに始めました。それで小学生の頃には音大に行くためのテキストを渡されて、音大受験の勉強を始めていたんです。
だから、「私は音大に行って、ピアニストになるんだ」ということに疑問を持たずに漠然とした気持ちで音楽大学に入ったんです。でも入ったら、当たり前に上手い人たちが集まる世界で、周りのクラシックに対する愛情が私の何倍も違うなと感じて……。
――プロを目指して音大に入ったのに、周囲と接するうち心が折れてしまって。
ハラミちゃん:はい。あと、他の一般大学も参加する音楽のインカレサークルに参加していたんですけど、みんな楽器もできるうえに頭も良いんですよ。そういう先輩たちが普通に就職していって、私はプロになるつもりで、ピアノ一本でやってきたけど、「私のピアノは趣味なのかな……」って。
世界が広がったゆえの挫折というか、60歳まで働くとしたら、あと40年間もピアノの道を歩けるだろうかって不安になってしまって。社会人として働くことで今後活かせるスキルや武器が身に付くし、一般企業に就職しようと決意しました。
ピアノを諦めて「一般企業」に入社
――幼い頃から英才教育をしてきたご両親はどんな反応でしたか。
ハラミちゃん:正直、自宅に何百万円もするグランドピアノを買ってもらったり、音大の学費も相当高いし、申し訳ない気持ちがありました。
父は「人間は勉強だけじゃなくて、1つ芸を身に付ければ一生困らない。だからピアノでもなんでもいいから、自分の得意なことを1つ尖らせなさい」と言っていて。母も「人生で一度は社会人の経験をしたほうがいい」と。私は「本当にごめんなさい」と謝ったけど、反対せずに応援してくれましたね。
――就活で大変なことはなかったですか。
ハラミちゃん:音楽大学ってあんまり一般企業に就職する人がかなり少ないので、情報が全然なくて。企業の説明会とか100社以上は行きましたね。あとは他の一般大学に潜り込んだり、フェイスブックでメッセージを送ってアポを取りつけて出待ちしたり(笑)。就活にルールはないし、ゴールまでの手段を選ばないというか。そういう行動力はあるんですよ。