「元同僚とボーナスで格差が」旅行会社から公務員に転職した29歳の懐事情
まさに天国から地獄。前年までの増加傾向から一変し、夏以上に厳しさを増した今冬のボーナス。ANAやJTBのように大手企業にも全額カットの会社も出ており、大幅減でも支給されるだけマシといった状況になっています。
しかし、それでも安定した額を支給してもらえるのが公務員。人事院は10月、国家公務員のボーナスを0.05か月分引き下げるように内閣と国会に勧告し、これを受けて地方公務員も同様にダウンしましたがちょっと下がった程度に過ぎず、民間企業の感覚からすれば現状維持といってもいいレベルです。
旅行会社から地方公務員に転職
それでも、地方公務員の塩崎愛祐さん(仮名・29歳)によれば、「ウチの市役所では不満を口にする職員が多い」と呆れたように話します。
「彼らの多くが40~50代。僕個人はこういう事情であれば仕方のないことだし、たかがそのくらいで……と思ってしまいましたが、昼休みに延々と愚痴っていた年配の職員もいたほど。とても市民の方には聞かせられませんよ(苦笑)」
実は、彼の前職は旅行会社社員。採用試験を経て、2017年に現在勤める市役所に入所したそうです。
「大学時代、本当は公務員志望だったんです。けど、並行して民間企業への就活もしていて、内定が取れたからそこでいいかなって妥協しちゃったんです」
元職場はボーナスカットに人員削減…
「でも、働きたいと思っていた業界ではなく、やっぱり公務員を目指そうと思うようになり、仕事をしながら採用試験の勉強を続けていました。
勤めていた旅行会社は大手ではなかったですけど、転職する前は増収増益で業績も好調。だから、悩まなかったといえばウソになりますが、今思えば公務員を選んでよかったと心の底から思っています」
元職場で仲の良かった数人の同僚とは今も連絡を取っているそうですが、冬のボーナスは0円。店舗も次々と閉鎖され、契約社員の雇い止めや希望退職者の募集といった人員削減も行われているとか。
「仮に辞めてなくても年齢的に会社には残れたとは思いますが、夏はボーナスが出ても去年の半分以下だったそうです。一緒の支店で働いていた元同期は、『年収が去年より60万円以上も下がった』と嘆いていて、かける言葉がありませんでした。今は公務員ですがサラリーマンとしての感覚も残っているつもりです。だから、ほんのちょっと下がった程度で大騒ぎしている役場の上役たちにはどうしても違和感を覚えるんです」