30歳ホテルマン、コロナ禍で冬ボーナスゼロ「住宅ローンがヤバい」
飲食店と並んでコロナによる業績悪化がとりわけ深刻なホテルなどの宿泊施設。しかも、Go Toトラベルの恩恵を受けられたのは、旅行予約サイトや一部の高級ホテル・旅館だけ。それも感染再拡大による一時休止はもちろん、対象外の地域もキャンセルが続出しており、激減した売り上げを補うには程遠い状況です。
覚悟はしていたけど……
某地方都市のホテルに勤める小久保明さん(仮名・30歳)は、業績不振が響いて冬のボーナスはなし。10月下旬に会社からのメールで知ったといいます。
「出張客の利用が中心だったウチのホテルは、各地が行楽客で賑わった9~11月も空室だらけ。頼むからボーナスなしは勘弁してくれと思っていましたが予想通りでした。これなら前年の半分だった夏のボーナスを4分の1になってもよかったから冬にも欲しかった。
いくら覚悟していたとはえ、ボーナスがゼロという事実を受け入れるのは本当に辛い。会社の経営がシャレにならないほど厳しいことは重々承知していますが、そんなことはどうでもいいって気持ちになるし、働こうって意欲が湧いてこないんです」
コロナ禍で、JTBもANAも藤田観光(ワシントンホテル等)も冬のボーナスゼロですから、業界全体がひどい状態なのです。
転職するにも仕事がない
まさかここまでモチベーションが下がるとは本人も思ってなかったとか。頭には転職の二文字が浮かんだそうですが、それを実行に移すのにはためらいがあります。
「私が勤めるホテルの業績だけが悪いのであれば、悩まずにパッと辞めていたと思います。でも、一部の業界や企業を除いて世の中全体の景気が悪くなっているし、転職サイトを調べても1年前なんかに比べると求人が全然ないんですよ。
私が住んでいる県は有効求人倍率はすでに1倍を切っていて、この状態で仕事を辞めたとしても何のプラスにもなりません。そう思ったらボーナスがないからと言って正社員の身分を捨てるなんてできませんよ」
ちなみにリーマンショックのときはまだ学生。就活をしていた2011年も雇用情勢はよくなかったものの特に苦労することなく今のホテルの内定をゲット。そうしたこともあって今まで景気の悪さを身に染みて感じることはありませんでした。
「大学の同級生には就職先がなかなか決まらなかった人もいましたが、仲のいい連中はみんなそこまで苦戦していませんでした。就職難だったのはニュースや新聞で知ってはいましたが、正直他人事のように思っていたんです」