日本一の葬祭系YouTuberが語る「お葬式にまつわるデマ」の困った実態
YouTuberの中には自分の本業に関する情報や専門的な知識を発信し、成功している人も多い。1日の大半の時間を費やす仕事についてなら、ネタや話題にも比較的困りにくく、職種や業界によってはYouTuberとして高い市場性を発揮できるだろう。
そこで今回は昭和5年創業の葬儀社・佐藤葬祭の3代目社長で、人気葬祭系YouTuberとして活動している佐藤信顕氏に、YouTubeチャンネルの開設の経緯などを聞いた。
YouTubeで葬儀情報を発信する理由
葬儀の専門家である佐藤氏がYouTubeチャンネル「葬儀葬式ch有限会社佐藤葬祭」を開設したのは5年前。“あかるく楽しく、わかりやすく”をモットーに葬儀に関するさまざまな情報発信を行うというコンセプトで、チャンネル登録者数9万人を数える(2020年11月時点)。
「YouTubeチャンネルした理由はビジネスとして、もっと知名度を上げて会社の受注を増やすためということがひとつです。お葬式の受注経路っていくつかありますが、いまはネット検索で見つけた近くの葬儀屋さんに頼むパターンも多いんですね。
でも、ウェブ広告会社などへの経費もかさむし、単に自社サイトをつくっても大手の葬儀サービス会社などには勝てない。でも、自分で顔を出して動画に出るというのは他の人にはなかなか真似できないし、信頼感なども含めて差別化ができると思ったんです」
正しい情報を伝える場がほしかった
同時に葬儀に関するデマ情報がネット上などで多く、毎日のように電話などでたくさんの質問や相談に対応しなければいけない状況があり、葬儀会社として正しい情報を伝える場がほしかったことも理由のようだ。
「デマ情報がすごく増えて仕事がしづらくなることが頻発していたんですね。例えば、お坊さんに離檀料(お墓を撤去、別の墓地に移設する際、お寺に渡すお布施)をぼったくられたみたいな話があって、そういう情報を目にして不安な状態で菩提寺と出会うことになると、葬儀の現場が非常に混乱することがあるわけです。
樹木葬など葬儀の選択肢が増えているみたいな報道も幻想で。多くの人はいまあるお墓から考えれば、わりと素直な流れで決まるんです。寺にお墓があるならその6~7割の人たちは、お坊さん呼んで戒名つけて、先祖のお墓に入っていくかたちが、心理的にも作業的にも一番負担が少ないんですよ」