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YouTubeが変えた「テレビ番組」のつくり方<明石ガクト×放送作家・白武ときお>

ビジネス

 2020年8月、『YouTube放送作家 お笑い第7世代の仕掛け術』(扶桑社)を上梓した白武ときおさん(29)。彼は今、テレビ番組と並行して、霜降り明星、かが屋など「第七世代」と呼ばれる芸人たちのYouTubeチャンネルを手がける放送作家として注目を浴びている。

プロデューサー

白武ときおさんと、明石ガクトさん(右)

 そんな白武さんと同時代に活躍するのが、“動画のカリスマ”こと、ワンメディア株式会社・代表取締役の明石ガクトさん(38)だ。彼もまた、今年7月に電子書籍の新刊『動画の世紀 The STORY MAKERS』(NewsPicks)をリリースし話題となっている。

 前編の対談では、「動画プロデューサー的感覚」「YouTubeの未来」などについて語ってもらった。後編では「テレビと動画の違い」「いい動画を撮る方法」「第七世代がブレイクした理由」など、さらに2人の脳内を深掘りしていく。

テレビ番組は“一枚絵”を意識する作り方に

――現在、テレビ番組の無料配信サービス「TVer」があり、2020年秋には放送と同時にインターネット配信する準備を進めています。この影響でテレビ番組のつくり方は変化していくと思われますか?

白武ときお(以下、白武):テレビ番組もスクショしてツイッターに上げたくなるような“一枚絵”を意識してつくることが増えているので、今後はそれがより顕著になるんじゃないかと思います。スマホを意識するなら出演者もなるべく少なくして、3人以内の見やすいサイズ感に収まっていくと思います。たとえばTVerでの再生回数が高い『相席食堂』みたいに(千鳥の)2人が面白いことを言うような番組とか。

明石ガクト(以下、明石):そこを意識している番組、そうじゃない番組が分かれている気がしますよね。僕が出演している『田村淳のコンテンツHolic』は、YouTuber・フワちゃんの作家さんが入っていて、明らかにテロップとか編集スピードがYouTubeのそれなんです。

 つまり、スマホで見るといいんだけど、テレビだとちょっとうるさい。このつくりが通ったのは、おそらく関西の放送局(MBS)だったからだと思うんですよ。ローカルだと視聴者が限定的だから、むしろ「TVer」で見られることを意識したんじゃないかと。

白武:YouTubeのお客さんがそっちに傾くかもしれないし、「やっぱりYouTubeのほうが見やすい」とテレビ番組がYouTubeにアップしていく可能性もあるので、今年の秋改編はちょっと楽しみですね。

「動画」の地位を上げるためには?

プロデューサー

「オレたちの“全国大会”はどこにあるか?」をよく話すという、明石さん

――明石さんは、「動画」というものの地位を上げようと、テレビに露出するようになったそうですね。そのほかに取り組んでいることはありますか?

明石:三浦くん(「株式会社GO」代表の三浦崇宏さん)と「オレたちの“全国大会”はどこにあるか?」っていう話をよくするんです。コピーライターは糸井重里さん、アートディレクターは佐藤可士和さんが全国大会で優勝してる。

 じゃあ「動画制作サイド」「クリエイティブディレクター」の全国大会は? っていうと、ないんですよ。だから、オレとか三浦は、この2つの全国大会が開かれるようにしたいんです。

白武:「動画制作サイド」の全国大会がないのは、目に見えない競技だからなんですかね。「テレビスタッフ」なら加地(倫三)さんや藤井健太郎さん、「テレビの放送作家」なら高須(光聖)さん、(鈴木)おさむさんとかになるかもしれない。それが「YouTubeの放送作家」になると、5人ぐらいの競技になるんですよ。

動画の世紀 The STORY MAKERS

動画の世紀 The STORY MAKERS

『動画2.0』の著者がおくる、これからの動画制作におけるニューノーマルをまとめた決定版

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