自粛生活でゲームをやりすぎ、うつ状態に?コロナ下に潜むリスク
新型コロナウイルスの感染対策でさまざまな変化を遂げた生活様式。しかし、たとえ感染対策のつもりでも、間違った解釈のまま実践していると、命を落とす危険性も……。識者たちの声をもとに、我々の日常習慣にはびこるリスクを洗い出してみた。
感染を恐れた「診療控え」で死者が増加?
内科医・岡宮裕氏が最も危険視するのは「診療控え」だ。
「東京都の4月の死者数は、’15年から’19年は平均9052人。しかし、今年4月の死者数は速報値で1万107人でした。比較すると1056人、11.7%も増え、東京のコロナ感染による死者数104人を大きく上回っています。
増加した原因のひとつとして推定されるのが、医療機関の診療控えです。感染を恐れて通院をやめたり、体に異変があっても診察に行かないことで病気が悪化。このままでは、診療控えによる死者数は、コロナで死亡する人の数倍に上る可能性もあります」
なお、現在、感染拡大を受けて、電話診療やオンライン診療を受けられる病院やクリニックも増えているため、感染リスクは比較的少なく済む。体調に異変がある人はすぐに受診を。また、呼吸器内科医・大谷義夫氏も続ける。
「怖いのは、ワクチンなどの各予防接種や健康診断などを控えたことによる病気の増加です。今後、コロナの第2波、第3波に備えて、今のうちに予防接種や健康診断は済ませておきましょう」
外出自粛中のゲームが不健康の原因に
一方、外出自粛によって家で長時間ゲームに興じる人も増え、それが危険をもたらすことも。
「時間があるせいか、一日の起きている時間の半分近くゲームをしている人も珍しくありません。結果、昼夜が逆転し、生活リズムが崩れて不健康になるし、腰痛や眼精疲労や頭痛を起こすケースも多いです」(精神科医・夏目誠氏)
また、身体面だけではなく、精神面にも大きな変化が。
「ゲームのプレイ時間が長すぎると『ゲームをしていないと落ち着かない』というゲーム依存症に陥る危険性があります。さらに、対人関係が面倒くさくなるので、社会性が欠如するし、場合によっては、うつ症状を悪化させることも」(内科医・岡宮裕氏)
罪悪感なくプレイするためにも、時には運動の時間や人と話す機会をつくるなどして、心身のバランスを保っておきたい。
【岡宮裕】
内科医・代官山パークサイドクリニック院長。体に負担の少ない漢方薬を併用した治療を行っている。また、スポーツドクターとしても活躍
【大谷義夫】
呼吸器内科医・池袋大谷クリニック院長。呼吸器の名医としてメディアに登場。近著に『絶対に休めない医師がやっている最強の体調管理』(日経BP)
【夏目誠】
精神科医・企業の産業医としてメンタルヘルスに取り組む。著書に『職場不適応のサインベテラン産業医が教える気づきと対応のコツ』(南山堂)
<取材・文/週刊SPA!編集部>