働かない弟の「海外留学の夢」に家族が出資した結末
兄弟や姉妹とは切っても切れない縁。しかし、「きょうだいリスク」という言葉があるように、将来の不安のタネになってしまうこともあります。
今回はそんな兄弟を持つ人に話を聞きました。
IT会社に勤務しているWさん(29歳・男性)は、3歳下の弟の行動に悩んでいるそうです。真面目かつ堅実なWさんとは対照的に、弟さんの性格は大雑把で奇抜。エキセントリックな行動をとっては周囲をよく困らせてきました。彼の小学校時代についてWさんはこう語ります。
イタズラ好きでも、愛された弟
「学校の成績も良くてクラスの学級委員だった私とは真逆のタイプでした。勉強はまったくできないけど運動は得意で、サッカーが特に上手。無類のイタズラ好きでもあり、学校で爆竹を炸裂させ、人の車に飛び乗ったことを思い出します。
あとは度を超えたイタズラで、両親が先生によく呼び出されていましたね。ただ、不思議と周りからの人望は厚くて人気者でしたね。両親や周囲の大人からも可愛がられていたと思います」
小学校時代はやんちゃで人気者だったという弟さん。専門学校を卒業後はエンジニアとして自動車部品メーカーに勤務していたそうですが、身体を壊し、1年で勤め先を退職。次の仕事が見つかるまでという条件付きで、再び両親と一緒に暮らし始めました。
しかし、仕事は決まらないままずるずると時間が過ぎ、気がつけば引きこもりになってしまったようです。
「俺、漫画家になりたい!」
「最初のうちは両親も私も、弟には優しく接していました。まだまだ若かったですし、次の仕事をじっくり決めさせてあげたかったんです。しかし、時間が経つにつれ、再就職の意志がないことがわかってきて、心配した両親から『弟を説得してくれ』と頼まれたんです」
両親の要請を受け、今後の弟さんとの関係悪化も辞さないつもりで説得にあたったWさん。兄弟間で急遽、話し合いの場が設けられました。しかし、開口一番、弟さんからとんでもない一言が飛び出します。
「『俺、漫画家になりたい』と言い出し、いきなり原稿を渡され、感想を求められました。そもそも弟が昔から絵を描いているところなんて見たことなかったので、かなり面食らいました。
どうやら引きこもり始めてから、コツコツ描いてはネットにアップしていたらしく。『まあまあ面白かったよ』と、感想だけは伝えたのですが、突拍子がなさすぎて、言おうと思っていたことを全部忘れてしまいました」