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「好き」を仕事にしている人が、結局伸びない理由

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 自分の就いている職は自分に合っているのだろうか? ふとそういう疑問にとりつかれることは誰しもあることです。とりわけ、自分は「好き」を仕事にできているだろうか、ということを現代人は気にしがちです。

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※画像はイメージです(以下同じ)

 しかし、最新の研究によれば「好き」を仕事にすることは、必ずしも合理的な適職判断ではない、という結果がでています。著書多数のサイエンスライター鈴木祐氏の著書『科学的な適職』(クロスメディア・パブリッシング)から紹介します(以下、鈴木氏寄稿)。

好きを仕事にしても幸福度は上がらない

「好きなことを仕事にしよう!」。現代のキャリアアドバイスで、もっともよく聞くのはこれでしょう。ステーヴ・ジョブズのスピーチで爆発的に広まった考え方ですが、似たような発想は古くから存在しており、すでに紀元前に、孔子が「自分の愛することを仕事にすれば、生涯で1日たりとも働かなくて済む」との言葉を残しています。

 多くの日本人が、このアドバイスにひかれるのは無理からぬところでしょう。

 ギャラップ社が139か国の企業に行った調査によれば、「熱意を持って仕事に取り組んでいる」と答えた日本人は全体の6%だけだったと言います。逆に「やる気がない」という回答は70%にものぼっており、この数字は世界で132位の最下位クラスです。

 そんな状況下では、「大好きなことを仕事にしたい、そうすれば満足できる働き方ができるはず」と思うのは自然なことです。

 しかし、だからといって好きを仕事にすれば万事解決かといえば、そう簡単にはいきません。多くの職業研究によれば、自分の好きなことを仕事にしようがしまいが最終的な幸福感は変わらないからです。

「仕事観」を2パターンに分類した

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 2015年、ミシガン州立大学が「好きなことを仕事にする者は本当に幸せか?」というテーマで大規模な調査を行いました。数百を超える職業から聞き取り調査を行い、仕事の考え方が個人の幸福にどう影響するかを調べたのです。

 研究チームは、被験者の「仕事観」を2パターンに分類しました。

適合派:「好きなことを仕事にするのが幸せだ」と考えるタイプ。「給料が安くても満足できる仕事をしたい」と答える傾向が強い。
成長派:「仕事は続けるうちに好きになるものだ」と考えるタイプ。「そんなに仕事は楽しくなくてもいいけど給料は欲しい」と答える傾向が強い。

 一見、適合派のほうが幸せになれそうに見えます。自分が情熱を持てる仕事に就ければ毎日が楽しく、金目当てに働くよりも人生の満足度は高まりそうな気がするでしょう。

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