コクヨが、ぺんてるの筆頭株主に。文房具最大手の職場環境は?
コクヨ株式会社が9月24日、ぺんてる株式会社の普通株式37.45%の保有が同社取締役会によって承認されたと発表した。今後コクヨはぺんてるの筆頭株主となり、協力関係について協議を進めるとしている。
複雑な文房具業界のシェア争い
売上高3151億円で文房具業界の最大手のひとつに数えられるコクヨが、売上高403億7800万円で同じく業界内で大きなシェアを持つぺんてるの筆頭株主となった(売上高は共に連結で2018年実績)。
文房具業界において非常に大きな出来事だが、今回の発表までには一筋縄では行かない背景があるようだ。
本件の第一報は5月10日にコクヨがリリース。しかし、3日後の5月13日にぺんてるが「当該譲渡について当社は5月10日に当該事実を通知されたに留まり、今後の方針につきましては一切未確定」と発表した。ぺんてるにはリリース以前に、情報が共有されていなかったことが明らかとなった。
以降、公的な場所での続報は出されておらず、冒頭の9月24日の発表に至っている。また発表された内容は同社とも「協議を開始することについて合意」に留まっており、このことからも沈黙の4か月間の関係性が決して良好ではなかったことが伺える。
今回のコクヨの狙いとは?
マーケティング事業を手がける株式会社矢野経済研究所によると、国内の文房具市場は成熟しており、人口減少から需要の縮小は避けられないと分析している。
コクヨは5月10日のリリースの中で、株主になる目的について「世界22の販売拠点を通じて120以上の国と地域で展開」しているぺんてるのブランド力を挙げている。ぺんてるのサインペン等の文具は海外でも高い人気を誇り、売上の約7割が国外シェアとなっている。
また国内市場に目を向けると、プラス株式会社の存在もあるようだ。プラス株式会社はオフィス家具、オフィスインテリア用品の製造・販売などを手掛け、売上高1772億円(連結で2018年実績)。コクヨには及ばないものの業界内では強い影響力を持っている。ぺんてるとプラスには合併の噂もあり、コクヨとしてはその動きを阻止したいという面もあったようだ。
今回の騒動は、今後苛烈を極めるであろう生き残りをかけた戦いの一端として見ることができるのではないだろうか。
ちなみにコクヨの従業員数は6784人、ぺんてるは3057人、プラスは5558人(全て連結で公式サイトによる)。「Yahoo!ファイナンス」によるとコクヨの平均年齢44歳で平均年収772万円。ぺんてるとプラスは明らかにされていない。