汗だくになる悩みも解消。新感覚「スーツ×ジャージ」ウェアの開発秘話
多くのビジネスマンは週5日間スーツを身につけて仕事をします。長時間の移動やものの運搬がある場合はツラいものですが、仕事だからキチンと見えることは必須です……。
そんな悩めるビジネスマンに朗報です。本格的なスーツの形をしたジャージがクラウドファンディングで話題を呼んでいます。前回は達成率500%を達成したクラウドファンディングの舞台裏について聞きましたが、今回はそのスペックに迫ります。
T-FO(ティーフォ)は、文化服装学院卒業後、複数の職歴を経て独立した東 熙大(あずま・きだい)さんが手がける新進ブランド。クラウドファンディングのプロジェクト名は「【日本製】スーツの形をしたジャージ~すべてのA業マンにおくる~」。スーツなのにジャージ? と疑問に思うかもしれませんが、ビジネスシーンでのスーツの不便さを元に考案したプロダクトなのです。
素材はジャージーだけど、見た目はスーツ?
――「スーツの形をしたジャージ」について詳しく教えてください。
東 熙大(以下、東):既存のスーツだと夏は汗だくになるし、長時間着用しているとシワが気になる。出張時の運搬も何かと気を遣いますよね。この「スーツの形をしたジャージ」は、伸縮性・通気性に優れ、さらにシワになりにくい。家庭内での洗濯も可能なんです。
オーセンティックな仕立ては、国内のスポーツ及びコレクションブランドでの経験を持つ熟練のパタンナーによるもの。ノッチド・ラペルや2ボタン、フラップポケット、センターベントなど、ディテールもベーシックにこだわっています。カラーはグレーとネイビー。パンツのみホワイトも用意。セットアップとしてだけでなく、ジャケット・パンツそれぞれ単体でも着用可能です。
――プロジェクトの支援方法はどんなものがあるのでしょうか?
東:支援は、パンツ1本1万1000円から、ジャケット1着2万7000円から、セットアップでは3万8000円から。セレクトショップで2万円台のセットアップも手に入る中で、20代にとっては高く感じるかもしれません。
しかし、デザインはベーシックなので汎用性は高いですし、長く着ることができます。スーツに関して学ぶ機会がない日本人は、なんとなくで買う人が多い。だからこそ、若いうちにベーシックデザインを知って欲しいという思いがあります。
型破りなプロダクトに込めた思いとは
――スーツといえば仕事で着るもの、対して、ジャージにはスポーツウエアや部屋着のイメージがありますよね。それをあえてミックスした意図はなんでしょう?
東:そのためには、まずスーツとは何か、ジャージとは何か、の説明からさせて欲しいです。スーツの起源は中世ヨーロッパの王侯貴族の正装。貴族には肉体労働がないので立ち振る舞いの美しさに重点を置かれたウエアだったわけです。それが時代が降る中で簡略化されながら、一般市民にも定着した歴史があります。とはいえ、現代のスーツにもパッドや胸芯といった、立ち振る舞いを美しく見せる要素は残っていて、それらが動きの不便さの原因のひとつになっています。
一方、ジャージはスポーツウェアのセットアップトラックスーツの俗称で、ジャージーはその生地の正式名称です。スーツの生地が織物なのに対して、ジャージーは編み物。そのため、生地自体に伸縮性があり、スポーツウエアに採用されているわけです。
――なるほど。ジャージー生地は一般的なスーツの生地とは構造から異なるのですね。
東:そして個人的には、そもそも日本には既存のスーツは合っていないと思っています。というのも、日本はスーツの発祥地ヨーロッパと比べて、高温多湿で着用時のストレスが多いからです。例えば運転手付きで、仕事内容も商談や会食がメインの重役さんなら、見た目の美しさが重要なので、お仕立てのスーツを着るべきでしょう。でも、移動や身体を動かすことが多い現場のビジネスマンにとっては仕事中にスーツを着るのは苦痛だと思います。
とはいえ、これほどスーツが浸透した現代において、スーツを完全に除くことは難しい。そして、僕の目的は伝統的なスーツの否定でもありません。伝統的なスーツに敬意を表しながら、より快適なビジネスライフに貢献したいと思って、今回のプロダクトを企画しました。
使用素材は有名スポーツメーカーも採用しているものなので、本格的なスポーツも可能。おすすめはしませんがバスケやゴルフだってできる機能性を確保しています。