戦力外通告を受けたプロ野球選手たちの意外な転身先。元横浜DeNA投手が語る
「人生100年時代」と言われる昨今、長寿化する社会をどうやって過ごすかというのは喫緊の課題だ。長くやりがいを持って働き続けるためにはどうしたらいいか。ビジネス本では様々なメソッドが紹介され、注目を集めている。
そんななか異色の書籍が発売された。戦力外通告を受けた元プロ野球選手5人のその後を追った『僕たちのLIFEシフト 「戦力外通告」をプラスに変えた転職の思考』(徳間書店)だ。著者は、広告やスポーツ系イベントを手がける株式会社I’uniqueを起業した、小杉陽太さん(34)。
小杉さんは元横浜DeNAベイスターズ投手で、自らも2017年に戦力外通告を受けた。なぜ起業の道を選んだのか、出版の経緯などを聞いた。
過去の栄光にすがると転職は難しいかも
――プロ野球選手のセカンドキャリアはどう変わっていますか?
小杉陽太(以下、小杉):一昔前は飲食店経営やテレビタレント、あるいは球団職員や野球解説者など野球関係者が多かったのが、今はかなり多様化しています。
本書にも出てきますが、横浜DeNAからセールスフォース・ドットコムに転職した(松下)一郎とか、巨人からアクセンチュアに行った柴田(章吾)くん、阪神から公認会計士になった奥村(武博)さんとか昔だと想像できなかったキャリアを築いている人がいる。
――元プロ野球選手の転職は難しいのですか?
小杉:人それぞれだと思いますが、「元プロ野球選手」というプライドが出てしまうと難しいかもしれませんね。見栄があったり、過去の栄光にすがってしまうと、中途半端に終って、悔いが残るかもしれません。
僕は、タクシーも使わず普段から電車移動していたくらいなので、とくに変なこだわりやプライドはありませんでしたが。
プロ野球界は非常に保守的なんです
――それなら転職後も、大丈夫そうですね。
小杉:あとセカンドキャリアについては、楽天やソフトバンクなどIT企業が参入したのも大きいと思います。球団オーナー企業の顔ぶれを見てもらえればわかると思いますが、プロ野球界って非常に保守的なんです(笑)。
僕がいたDeNAベイスターズは、南場智子(DeNA代表取締役会長)さんや、(横浜DeNAベイスターズ)初代社長の池田純さんが、現場の選手たちに対して経営の部分を見せてくれてたんです。「チームが優勝争いできるにはあと何年かかる。だから、先に人気を上げましょう。経営を支えるため、ファンサービスを強化してほしい」とか。
――それは珍しいですね。
小杉:「グッズはロイヤリティがこれだけあって~」とか仔細に話してくれましたね。選手の中には「(試合に)集中したいのに、なんで俺たちが…」って当初は反対していた人もいましたが、みなさんだんだん協力的になっていきましたね。
そういう意味では、DeNAのみなさんはチームをひとつの目標に対して、進めさせるのが上手だと感じました。あとは「利益を出してはじめて社会に貢献している」という考え方は、とても勉強になりました。